遠い足音
毎晩聴こえる
アパートの廊下から
革靴とハイヒールの音
手を繋ぎ 笑い合う恋人同士
あなたたちは幸せなのか
秋の訪れ
枯れ葉のくつを履いた秋が
足早に立ち去っていった
どうやら北風にさらわれたらしい
旅は続く
人生はつづく
泣いても笑っても
人生はつづく
どんなに傷を負っても
許せない人がいれば許さなくていい
でもあなたが負ったその傷は
いつかあなたを助けてくれるかもしれない
いつかあなたを
新しい場所に連れて行ってくれるかもしれない
モノクロ
あの日々は
思い返すとそう
モノクロの日々と言えるかもしれない
朝起きると
体が重い
空が暗いだけで不安になる
いつも背後に真横に
誰かがいる気配
亡くなった会社の先輩
自殺した有名人
自分でもいないと分かっているのに
脳がそう私に見せる
戸締りだって何回もするし
外出しても急に不安になって家にUターンしたり
家に帰れば
不安で焦りで
頭の中で危険信号が鳴り響いて
じっとしていられなくなって
急にベランダに飛び出したり
空が青くてあんなに綺麗なのに
全く心が癒やされない
分かっているのに
元通りに戻れない
そもそも私の元通りとは?
本当にあったのか?
涙が出てくる
空はあんなに青いのに
空の青さが分からない
でも 今は
今は もう大丈夫
今日が最後の病院の日
もう大丈夫
明るい未来に向かって歩いていける
永遠なんて、ないけれど
去年の今頃
何を考えていたか、思い出せる?
何に熱中していたか
何に悩んでいたか
思い出せる?
すべてはうつろう
悩みも同じ
今はすごく苦しくても
来年にはきっとなんとかなってるよ
大丈夫
私もそうだったから
涙の理由
思い出している
あなたとのキレイな思い出を
今になって 記憶が思い出になったのだろう
あの日に置いてきた愛しさが
今になってあふれてくる
思い出すと涙が出てくる
愛おしくて 苦しくて
あの頃に戻りたいような気もする
2025.9.26 コーヒーが冷めないうちに
テーブルで向かい合う
わたしはコーヒー
あなたは紅茶
わたしはお喋りは不得手ですが
あなたは滔々と喋り続ける
わたしは数少なくうなずき、相槌をうつ
そんなわたしの反応はつまらないでしょう?
でも口を止めて
手を握ってくれた時の
あなたの優しい瞳は
何物にも変えがたく
愛おしい
でもほら
ずっと見つめられると
あなたの紅茶が冷めてしまいますよ
2025.9.25 パラレルワールド
パラレルワールドとは
なにもドクター・ストレンジだけの話ではない
あなたの選択によって
あなたの世界は少しずつ別の世界へズレていく
朝起きて
何を食べるか
何を着るか
誰と会い
何を話し
何を知るか
無限にある選択肢から
選び、捨てることにより
一瞬前の自分から
別の自分に進化する
強くなりたい
賢くなりたい
美人になりたい
そう思い、目指す方向に向かって1ミリでも進み続ける
そうすると人は別の世界に行ける
それが成長ということ