君と紡ぐ物語
普段は買わない
少しお高めの手帳を買いました
シンプルな象牙色の表紙
ミドリペーパーの刻印
同じく象牙色の帳面は
鉛筆をなめらかにすべらせてくれる
気品と優雅さを感じる手帳
書き手のわたしの方が気圧される
わたしのつまらないことばを紡ぐには
もったいない
それでも いいだろうか
君の胸を借りても
君の気品に恥じないような
素敵なことばを紡げるようになりたいから
どうか 力を貸してくれないか
失われた響き
祖母がつかっていた島のことば
母がつかっていた九州のことば
なにひとつ継承しなかったわたしは
代わりに岡山のことばをあやつる
霜降る朝
「あぁ ゴミを出しに行かなくては」
暗い冬の朝
目覚めたベッドの上
寝間着のままコートを羽織り
ムートンブーツをはいて
外へ出る
空気が冷たい
音がしない
誰もいない
滅びた世界に取り残されたよう
なんだか気が大きくなって
ゴミ袋を持ったまま河川敷まで歩こうとした
寒すぎてあきらめた
時を繋ぐ糸
私が持っているこの本は
ドイツの哲学者 ショーペンハウアーに
つながっている
本は時を旅する舟
時空を超えて
知の巨人たちに会いに行ける
#ショーペンハウアー
#難しい
#何言ってるのかわからん
心の深呼吸
睡眠が足りないときに現れる
脱衣所の幽霊たち
わたしの危険察知センサーは壊れている
こわい こわい こわい こわい
たすけて たすけて たすけて たすけて
落ち着いて
息を整えて
あなたの心と体は「いま」ここにある
どこにも行かないで
これ以上は地獄の淵を超えてしまう
落ち葉の道
あんな何もないところで
よく遊べたものだ
こどもみこしをひいて
毎年のぼった秋の山
山の空き地の小さな公園
防火用の池
外から丸見えの公衆トイレ
小さな神社
森の中
そこかしこに落ちている落ち葉
こどもたちは喜び 勢いよく蹴り上げ
踏みしだく 寝ころぶ
君が隠した鍵
君はいつもそうだ
見つめ合うとすぐに目を逸らしてしまう
僕には君の瞳の奥の
心の錠前が見えているよ
あけさせてくれないか
それとも誰かに心を開くのが怖い?
誰だってそうさ
でも大丈夫
どんな姿の君でも
僕が全部抱きしめてあげる
声が震えているね
指でなぞれば ほら
でも どうか怖がらないで
さぁおいで
僕の瞳をみて