【1年間を振り返る】
今年一年、いろいろなことがあったよ。
まず、行きたかった高校に入学しただろ。
でもテストで赤点続きで、進級が危うくなって……。
そして夏休みに猛勉強したけど、やっぱり休み明けのテストで赤点を取った。
あんなに勉強したのに赤点だなんて、どうすれば、と途方にくれてぼーっと歩いてたら、そこにトラックが突っ込んできて。
気が付いたら異世界で。
そこでの俺は伝説の勇者で、どの村人に会っても頭を下げられて。
ツンデレのヒーラーやお調子者の盗賊、頼れるバーサーカーなんかと旅をして。
俺の居た東京には戻れないけど、毎日楽しいし、まあそれもいいかな、なんて思ったりして。
だから俺は、スライムが蔓延る「迷える森」の奥にある教会の鐘の音を、除夜の鐘の代わりに聞く予定。
初日の出もマーメイドたちの住む海岸で見る予定だ。
お年玉を貰う予定はないけど、いずれ魔王を倒せば王様が褒美をくれるかもな。
いやあ、この一年、本当にいろんなことがあったなあ……。
【みかん】
むかし、とても意地悪なおじさんがいました。
ある日おじさんの家に、段ボールがとどきました。
むかしの知り合いが送ってきたものでした。
玄関で段ボールを開けてみると、中にはたくさんのみかんが入っていました。
嬉しくなったおじさんはニヤニヤと笑いました。
と、誰かが家のドアをノックしているのが聞こえてきました。
おじさんは舌打ちを一つすると、ドアを開けました。
そこにはお隣に住んでいる佐藤さんがいました。
回覧板を届けにきたそうです。
佐藤さんはみかんを見て、「あっ、おいしそうですね」と言って目をらんらんと輝かせています。
それを聞いたおじさんは、
「お前には一つたりとも渡さねえぞ!」と佐藤さんは怒鳴りつけました。
佐藤さんは悲しそうな顔で帰っていきました。
おじさんは佐藤さんが閉めたドアを睨みつけると、段ボールを部屋に持っていきました。
「さて、このみかんは全部おれのものだ」
しかし、一つみかんを手にしたところで、ぐにゅりとおかしな感触がしました。
みかんのおしりの部分が白くなっていたり、青黒くなっていたりしたのです。
「カビてるじゃねえか!」
おじさんは怒りながら段ボールをひっくり返し、みかんを全て畳の上に出しました。
そして一つ一つ確認してみると、なんとみかんは全部カビていたのです。
おじさんのむかしの知り合いは、おじさんにたくさんの意地悪をされたので、その仕返しをしたのでした。
それから二年ほど経ちました。
おじさんはカビたみかんの感触が忘れられず、みかんを食べられなくなりました。
意地悪な性格は今も治っていませんが、みかんを手に入れた時は、佐藤さんに快くあげるようになったということです。
【冬休み】
冬休みってサイコーだよな
夏休みほど宿題も無いし
お年玉貰えるし
おせちや雑煮食えるし
ばあちゃんたちにも会えるし
普段会わない友達とも「あけおめー」だのメッセージ送り合ったりするし
まあ、でも今年始めの冬休みは
一つだけ嫌なことがあったな
実は、初詣で引いたおみくじが凶だったんだよ……
来年こそ、大吉引くぞ!
【手ぶくろ】
五年前の冬に
付き合い始めた彼と外を歩いていた時
手が冷たくなってきたので擦っていたら
彼が自分の使っていた手ぶくろを貸してくれた
はめてみると思ったより大きくて
彼の温もりが残っていてあったかくて
ドキドキしたんだ
そんな思い出のある彼と
今年の冬
結婚します
【変わらないものはない】
昔はあんなにイケメンだった夫。今はブクブク太って、ぱっちりしていた目も盛り上がった頬の肉に隠れて細くなってる。
テレビを見ながらお尻をポリポリ掻いて、オナラまでしてる。
時が経てば変わらないものはないか、と諦めているけれど。
昔とおんなじように優しいあなたが、今でも変わらず好きなのよね。