【1年前】
大好きな人と離れたのが一年前
今年ようやく再会できた
けれど俺は
あの頃の純粋さを失くしていた
俺の変わりようにあの人は険しい目をした
離れ離れになったのは
あの人と俺どちらのせいでもない
事故みたいなものだった
それなのに傷付けあって
互いに苦しんだ
そんなつもりはなかったのに
偽りの気持ちばかりを吐いた
一年前
あの人は俺を助けてくれた
ただそれだけだったんだ
何がいけなかったのか
俺たちはどうして
こんな風になってしまったんだろう
再会は嬉しいけれど辛かった
俺はどんな顔をするのが正解だったのか
あの人が知るのは一年前の俺
今の俺を見て愕然としただろう
ごめんなさいを心で繰り返しながら
酷い言葉を投げつけた
一年前の俺のままでいられたら
あの人に悲しい思いなんてさせなかったのに
【好きな本】
昔からずーっと
本を読みたいと思う時……
例えば電車に乗っている時や病院の待ち時間など
同じ本を読んでいた
僕はいろいろな本を読みたいと思わなかった
それくらい、この本が好きだったからだ
僕の気持ちを一番よく分かってくれているような、そんな内容だ
だからこの本を読むと
自分のことを一番理解してくれる友達に再会したような気がして
なんだか心が躍るのだ
【あいまいな空】
さよならさえ言いそびれた
あの日の夜
何度眠りに落ちても
寂しさ癒えないよ
友達に強がるのも疲れて
ひとり重たい気持ち抱えてる
あいまいな空見上げて
ひとつの嘘を呟いた
「もう君のことなんて忘れるよ」
そんな予定も保証もないくせに
【あじさい】
あの人に出会ったのはある雨の日
紺色の傘を差して佇んでいた彼の背後には
青い紫陽花がたくさん咲いていた
彼の白い肌にその青がよく馴染んでいて
世の中にはこんなにも紫陽花が似合う人が居るのだと
初めて知った
やがて彼は紫陽花へと手を伸ばし
しばらくすると細い指先が何かを捕らえたのが分かった
よく見るとそれは蝸牛だった
細い指の上、ちょこんと乗った蝸牛
これはこれで似合っていた
そして
彼が蝸牛に向かって微笑みかけたのにドキッとして
私はそのまま恋に落ちてしまった
それから彼を見かけたことは一度もないけれど
紫陽花を見ると彼のことを必ず思い出す
あの紺色の傘
あの白い肌
あの指先
あの蝸牛
あの微笑み
あの日見た光景の全てが
一年経った今でもはっきりと思い出せる
あの人のことは何も知らないけれど
雰囲気や仕草、笑顔
どれも好きだった
まだ新しい恋も見つけられていない
あの人より心惹かれる人に出会えていない
紫陽花の青のように淡い色をした恋心は
今も消えることなく私の胸に残り続けている
【好き嫌い】
美味しいと感じるものの方が少なく
食べるものにはいつも苦労してきた
野菜全般が苦手なため
レストランなどでメニューを見ると
このスパゲティにはグラタンには
どのくらい野菜が入っているのか、などと考えてしまう
「タマネギが入っているからこれは避けよう」
「この写真じゃ野菜が入ってるのかどうか分からないな」
と思うし
実際に注文した料理に野菜が入っていると絶望する
野菜以外にも嫌いな食べ物が多いので
たまに「何を食べて生きているのか」
と言われることがあるくらいだ
もちろん、好き嫌いをしたくてしているわけではない
美味しいと感じれば喜んで食べているし
自分でも面倒くさいことだと思っている
人それぞれ苦手な食べ物があるのは仕方がないと思う
逆に私が美味しいと思うものを
不味い、嫌いだという人もいるわけだ
好き嫌いがあるというのも
ある意味多様性なのかも知れない
健康のことや
さまざまな場面でのことを考えれば
何でも食べられた方がいいのは事実だが
そうすることが出来ないのなら
好き嫌いともうまく付き合わなければと思う
今苦手なものをいつか
食べたい、美味しいと思うその時まで
面倒くさい人で居ようと思う