日中の騒々しさが嘘のように消える
時刻は午前2時30分
車は一台も通らず、人一人すらもいない
夜だと言うのに、過剰なほどに置かれた街灯によって昼間のように明るい
上を見上げても、視界に入るのはビルのてっぺんとその隙間の空
星も月も見えない
僕が歩くと、足音が響く
こつ、こつ、こつ、石畳に踵を打ちつけて進む
今もどこかで、騒々しい世界で生きている人はいるけれど、僕は今、静寂の中心で歩いている
それがなんだか不思議でくすぐったい
静寂の中心で生きる人々は、また騒々しい日々に飲み込まれていくだろう
騒々しい日々にもみくちゃにされた人々は、静寂の中心へ向かっていく
その、繰り返し
出会いと別れ
喜びや悲しみ
衝突に和解
再開とまた別れ
僕の人生は、これらの繰り返し
いつもそばに誰かがいる
誰かがいる限り、僕の旅は続く
モノクロの意味、知ってる?
…白黒なこと?やっぱそう思うよね
でも違うらしいよ?
実際は、色に限らず、ただただ単色で構成された写真とか絵のことらしいよ
白黒なのはモノクロームらしい
…誰が、言い出したんだろうね
モノクロとか、モノクロームとか、人間って何にでも名前をつけるよね
神にでも、なったつもりかな
永遠なんて言葉があるけれど、本当は永遠なんてなくて
何事にもいつか終わりが来て、跡形もなく消え去ってしまう
今までのものが嘘のように、霧のように、なくなってしまう
だから、「永遠」なんて言葉にも、終わりが来る
永遠の愛を誓ったって、永遠の約束をしたって、その永遠には、終わりが来る
だから、この世に永遠なんて、本当はない
ない、けれど。
僕が生きている間は、永遠という嘘を、信じたい
僕の人生の終わりと共に、僕が誓った永遠も、終わるけれど
今この時だけは、永遠を誓いたい
涙の理由は、聞いてほしくない
かっこ悪いし、できるだけ涙は隠してたかったのに
こんなふうに君に見られるとか、最悪だよ
そんな私に、君は楽しそうに笑いながら
「そんなに感動しちゃったんだ」
って言ってくる
「だって仕方ないじゃん!あんなふうに死んじゃうなんて…主人公が可哀想だよ!」
「この映画でそんな泣かないよ」
笑いながら、それでも幸せそうな眼差しで見つめてくる君の顔を、私は見ることができなかった