私は中堅社員。またの名をエースという。
最近新人の教育係に任命されたため、今日もビシバシと指導中である。
「先輩!ここの手順が分かりません」
早速新人からの質問が来た。
軽くいなしてやるか。
「ゴミが。こんな簡単なことも分からないとは。いいか?よく見ておけ」
私はパソコンの作業を代わった。
30分経過〜
「馬鹿な!」
事務所のあちこちから警告音がなっている。
間違えて自爆装置を作動させてしまったようだ。爆発まで5分しかない。
あと会社の機密情報を全取引先と関連会社にメールで送ってしまった。
人生のリセットボタンが欲しい。
私が頭を抱えていると部屋に誰かが入ってきて言った。
「何だこれは?」
課長とストレッチマンだ。
私は即座に新人を殴りつけて言った。
「お前は何をやっているんだ!会社に恨みでもあるのか?」
こうなったら新人に全ての責任を取ってもらおう。
「え?え?」
新人は動揺している。しかし元はと言えばコイツが全ての元凶である。
私がさらに追撃の構えを見せるとストレッチマンが止めた。
「まあ、待ちたまえここに監視カメラがある」
「あああああーーー」
私は崩れ落ちた。
終わった。
しかし課長は驚愕の事実を言った。
「実はこれはテストだったのだよ。君が想定外の問題にどう対処するかというね」
なんとそうだったのか。
「つまり私はー」
「合格だ。他人に責任を押し付けて逃げおおせる。新人はそのためにいるんだ。よく気がついたな」
「課長ー!」
私は課長に抱きついた。
この人についてきて良かった。
カチ。
その直後、自爆装置が作動し職場は吹き飛んだ。
課長がタイマーを止めるのを忘れていたらしい。
「ストレッチマンてめー」
課長の最後の言葉だった。
時刻は午後5時。会社の定時だ。
「うひょひょーい帰れるー!」
私はものすごい速さで帰ろうとしたが主任に止められた。
「待ちなさい。君は今日サービス残業をする日だよね?」
何だその日は。なんで私だけ。
私が警戒していると同僚は言った。
「お前は会社でいつも寝てばっかりだから当たり前だろ」
なんて横暴な。
後輩も言った。
「先輩は先日取引先で暴れましたよね。肩がぶつかったとか言う理由で顧客を殴り倒して。責任を取りたいって言ってましたよね」
それとこれとは話が別だ。
おっさんも言った。
「君は一度サービス残業がしたいと言ってたじゃないか」
それは飲んだ勢いで言っただけで。
変質者も言った。
「昨日、サービス残業をしますって誓約書書いたよね。土下座までして、受け取ってくれないと暴れるってゴネたよね?」
昨日の私どうした。
「ともかくさいならー」
私は全員を振り切って帰宅しようとした。
しかし途中で捕まり会社の地下にある強制労働施設で死ぬほど働かされた。
出所後〜
「今日もサービスサービス(笑)」
私は365日サービス残業をする体にされてしまった。
今日はバンジージャンプを体験しに来た。
「まあ、所詮遊びだが」
私がカッコよくカッコつけていると、前に飛ぶ人がまごついているのが見えた。
チャラい男性だ。
「これ高くねーマジかぁー」
怖くて飛び降りられないらしい。
この底辺民が。
しかし人格者である私は手を差し伸べる。
「宮○タックル2023!!!」
私は全力の体当たりをかました。
あと命綱は切っておいた。
男性は勢いよく落ちていった。
クッションがあるから即死は避けられるだろう。
さっさと飛べよカスが。
ふと、気づいて下を見てみる。
「え?何これ高い」
思ったより高さがある。
なんか思ってたのと違う。
私は少しの間悩んだが、今回は帰ることにした。
考えてみれば、わざわざ4270円も払って飛び降りる練習をするなんて狂気の沙汰である。
危うく騙されるところだった。
私はその場を後にしようとしたが後ろで何か聞こえた。
「一緒に飛びましょう」
私の後ろで待っていた人が私の手をつかんで飛び降りようとした。
「え?ちょ命綱は?、、、」
言葉を発するまもなく私たち2人は落ちていった。
ちなみに下にクッションはあるが石でできているので安全ではない。
私は石に直撃し帰らぬ人となった。
「やはり危険な遊びだったか」
全てを見ていたスタッフは納得した。
突然だが縁を切りたい友達がいる。
会社の同僚だ。
いつも偉そうで愚痴ばかり言っている。
「直接言ってもいいが、ここは社会人らしく文章で、丁寧かつ遠回しに気持ちを伝えよう」
私は決心し以下のラインを送った。
”あなたの顔を見ると吐き気がします。気持ち悪いので死んで下さい”
「ふースッキリした。ん?」
返信が来ない。
普段なら10秒くらいで来るのだが。
不安になった私は、同様の文章を1分おきに朝まで送り続けた。
翌朝─
「しまった!」
間違えて会社の社長に送っていたことに気づいた私は動揺した。
まあ、悪意は無かったし許してもらえるだろう。
出社後、私はクビになった。
でももう同僚と会わなくて済むからハッピーハッピー
私はさすらいの明かりつけ師。
他人の住居に侵入し、部屋の明かりをつけることに命をかけている。
理由?そんなものはただ一つ。
家主が帰って来たときに寂しくならないようにするためだ。
我ながら出来すぎた性格である。
「さあて、今日の報酬は何かな〜♪」
ちなみにボランティアでやっているわけではない。
見返りとして家のものを拝借している。
とりあえずブランド物のバッグと腕時計と液晶テレビとパソコンと、、、
私は手近なものを袋に詰め込んだ。
「まあこんなもんか。シケてんな」
大したものはなかったがそろそろ潮どきだろう。帰ろうとすると物音がした。
「誰だ?姿を見せろ」
私はいい感じに威圧した。
出てきたのは家主だった。
「お取り込み中にすみません」
やけに低姿勢な家主だった。
私がさらに威圧しようと考えていると家主は続けて言った。
「ちなみに警察には通報しています」
「あああああーーー」
私は家から飛び出た。ここで捕まったら泥棒と勘違いされるに違いない。
見た目に騙された。あの家主は鬼だ。
しかし家の周りにはすでにパトカー100台が待機していた。
私は警察官に袋叩きにされ息を引き取った。