夜景
何もかもが面倒くなり、何時もの場所に来た…人家も疎らな郊外の山道のこの場所は、昼間なら青空と海と遠くに街並みが見える。が、今は夜…木立の隙間から暗い海に浮かぶ船の灯り、街並みから漏れるライト、海岸線を行き交う車の明かりが浮かぶだけ…こんな夜は、缶コーヒーを片手に、ぼんやりこの闇に隠れる…元来、人付き合いが苦手で、友人と言う程の相手も居ない…だから、一人静かに、街外れから遠くの灯りを見つめ乍ら、繰り言を吐き出して…
花畑
どこも続く秋桜の波…そこに立つ貴女は、カメラに向かって微笑んでいる…あの頃よりも、ふっくらした面影、明るい目元…そして、その顔は、妹と同じで…二十年振りに会ったお母さん…当時も、母さんが出て行った理由に納得していたけれど、突然の別れと、家族でなくなる、母さんと言える人が眼の前からいなくなる…捨てられる…色んな想いが交差した…小学校の卒業式直前の出来事…50も後半になろうとする今も、お母さん、と云う言葉を聞くと、切なく、哀しく、そして怒りが湧いて来る…初孫を見せたくて、漸くとった連絡、そして再会、でも、その時のお母さんの一言が、親子の再会の喜びで無く、怖いものを見る目で放たれたことが、今でも夢に出て来る…大好きな花と、この世にたった一人の存在の写真…
空が泣く
また暫く逢えないの…俯き乍ら震える声で、そう呟く君…無理やり作り笑いで、大丈夫だよ、心は何時でも繋がって居るから…そう答え乍ら、本当はこっちも嫌なんだ、ずっと一緒に居たいんだ、と言う言葉を飲み込んだ…遠恋は嫌だ!と言っていた君に、どうすることも出来ない自分が、情けなかった。お互いの気持ちだけが、唯一の頼み綱だから…そして、遠ざかる君がずっと手を降り続けて小さくなる姿が、切なくて…そしてとうとう姿が見え無くなって、空から、ポツリポツリと泪が落ちて来て…
君からのLINE
ポン…LINE通知音がした。今日何度目だろう…だけど、今は無視するしかないな…本当ならもう絶ってしまえばいいけど、それが出来なくて…本当はまだ君に未練タラタラで…君の気持ちよりも、想いは強いし、何なら今直ぐに逢いたい…でも、今の自分には、君を支える自信も何もない…笑顔の君の傍らで、静かに見守りたいのに…言い訳だって、意気地無しだって、解ってるけど…机の上のスマホ、鳴り続ける君からのLINE…
命が燃え尽きるまで
以前、落語で、命はロウソクの燃え尽きるまで、みたいな話を聞いた…神様なのか誰か分からないけれど、そんな管理をしていそうな気がする…慥かに、生まれたら、何時か終わりが来る…命ー人生は、常に選択を迫られる。それは、燃えるほどの情熱が必要だと思う…命の最後まで、どれほど熱くなれるのだろう…