多田野一人

Open App
11/15/2023, 1:51:55 PM

子猫
あの夜、君は子猫をように、怯えていたね…あの公園のベンチで、伏し目がちに、独り座って…
向かいのベンチから見ていて、同じく胸がギュッとなっていた…段々昏れてゆく空が、やがて群青色になり始めた頃、漸く君に、声をかけたね…君は目を逸らし乍ら、ポツリポツリ、時折嗚咽を洩らし乍ら話してくれたね…
あれから二人で過ごしてきたけれど、君は子猫から、少し我儘な猫に変わってきたね…

11/14/2023, 1:56:39 PM

秋風
揺れる薄の穂、流れる夕雲、飛んでいく烏の群れ…
そんな景色を丘の上から眺めて、肌寒い秋の風に身震いした…少し冬の気配が入り混じるこの風に、人恋しさが沸々と浮かんできた…君の隣で持たれ掛け乍ら、暮れて行くこの空と、やがて輝き出す星を見つめていたい…

11/13/2023, 1:56:22 PM

また会いましょう
出逢いは別れの始まり…昔、そんな言葉を、聞いて、何となく納得した事があった…其れは、初めて好きになったあの人とのさよならした日のこと…
あれから、幾つかの出逢いがあったけれど、同じ数のさよならを重ねた…そして、また今日も、君から
さよなら、また会いましょう
と言われて、何かが弾けた…さよならは、出逢いの始まり…だから、君とは、また明日逢えるよ…

11/12/2023, 2:21:26 PM

スリル
若い頃は、刺激的な日常に憬れていた…毎日、変化に飛んだ非日常生活を思っていた…それが何時からか、平穏な日常に、安らぎを感じるようになった…齢をとってきたからかも知れない…たまの冒険はいいけれど、ゆっくり過ぎてく、時間もいい…

11/11/2023, 2:17:11 PM

飛べない翼
翼があったら…子供の頃、翼をください、とか、口ずさみ乍ら、青い空を見上げていた…白い翼を思い浮かべて、高く高く遠く遠く飛んでいく姿を思っていた…段々齢を重ねる度に、段々とそんな事を考える時間は無くなり、只翼だけが心の隅で埃を被って、少しずつ薄汚れてきた…久々に向き合って、何だか解らない、熱い何かが込み上げてきた…

Next