「本気でやりなさい」なんてお父さま
だけど私には自分を見てただ泣くことしかできません
「強くなりなさい」なんてお母さま
ですけど私はこれまでの人生で強さを持った人間など見たことがないのです
ああ、本当にごめんなさい
もう何を言おうか何を思ったのか何故こんなにも顔が熱いのか分からない
何もこんなに泣くことなんてないと私が一番わかっているのです
「お父さんがお姉ちゃんのような人間にはなるなって」ああ本当にその通りだと思う
私はそれを聞いたとき何も言えなかったよ
そうだなあ、仕方がないよなあ
どうしたら良かったんだろうな
踏み躙られたみたいな気持ちになった。
世界にひとりぼっちになってしまったなあ。
────もう見えない
【はなさ はなす はなせ】
昨日報道された小学教師の不祥事が
明日から新シーズンのバンドが
開いた会見
カーテンに張り付いた太陽光が
染み付いて取れないから
もうこんなのうんざりだから
君が全部食べてね
美味しくなくても飲んでよね
誰のとこにもはなさないでね
ちゃんと責任取って
今日は帰れそうにないからさ
飛んでけ特急転んじゃえ
いっそどこかへ連れてって
余裕がないから間違えた
ホームをミスって地獄行き
やっぱりやっちゃんは大泥棒だね
そうだねえ
ねえ、なんだか風がはやいね
寒いねえ、冷たいねえ
月が欠けてるねえ
ねえ
時間があったらね
殺してね
ごめんね
余裕があったらね
余裕がないからね
みんなみんな大嫌い
『 東京近郊なんとか線 』
今日も私からの殺意に気付かずに
「死が怖い」
と嘆く私に
「人はそう死なない」なんて
呑気に言うなよ燃えろゴミ
「あれ、その付箋俺も持ってる」
神崎のノートには小さな、パンダのイラストがプリントされてる付箋がついている。
しかもかなりボロボロだ。
「これ山田がくれたやつだよ?」
「あ、そっか」
確かにこの前あげた気がする。なんで忘れてたんだろう。
…ん?
「この付箋1枚しかあげてなかったよね?もしかして使い回してる?」
「う、うん。だって可愛くて気に入っちゃったから」
なるほど…
欲しいなら言ってくれればいいのに
何回も使い回してたら意味ないじゃん…
「ふふっ」
「神崎ってほんと馬鹿だよね笑」
「え!?なに急に!酷いんですけど!!」
「なんでもないですぅ、」
「…ん、」
「これあげる」
そう言って付箋を渡す、念の為に2枚。
「間違えてたくさん取っちゃったから」
恥ずかしくて目が合わせられない。
「…ありがとう」
顔を見なくても恥ずかしがってるのが声でわかる
「こら、そこの2人喋らない!!」
まずい、授業中だった。
「!?すいませんっ!」
「すいませーん」
僕は神崎の事が好きだ。周りから見たら僕たちはカップルにしか見えないだろう。でも僕たちは友達だ。僕が臆病だから気持ちを伝えられてない。恋人になってこんなものかって失望されたくないんだ。
だから僕はこの、簡単に剥がせてなかったことにできる関係から踏み出せない。
こんなの自分でも情けない。
でも、卒業までは許して欲しい
「じゃあこの問題を〜神崎、いけるか?」
「っはい!!〜〜」
いつもこの席から見える横顔
神様、
ずっとこれだけは続きますように
※フィクション