komaikaya

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12/27/2025, 1:24:34 AM

『雪明かりの夜』

寒月の光が踊る
雪明かりの夜に

雪上を一匹で
疾駆するのは
雪色のウサギ

明るい夜だ
明るい夜だ

誰もいない雪原を
飛ぶように渡って

付けた足跡になど
かまわず一目散に

行く手を阻まれず
何者にも追われず

一面の白の中に在る
真っ白なただ一匹は

幸福だとか
不幸だとか

そういう思い煩いから
遥か遠くへ駆けるのだ

12/26/2025, 9:29:22 AM

じゃあ言われた通り
『祈りを捧げて』みようか

けれど
方法を知らない
祈るのと願うのは
どう違うの?

利他を偽善だと訝るお前には
永遠にわからない

祈りとは
ただ thank you って
口にするだけ

それだけなんだってことを
たぶんきっと
信じてはもらえないから

12/22/2025, 9:13:39 AM

 際限なく『降り積もる想い』と溢れる愛おしさ、これらはセットになっていて、その愛おしさを想いを持つ同士、お互いに与え合うことが、この感情の着地点。

 なら、そういう"降り積もって溢れさせる"という流れを作れない、相手に受け取ってもらえない場合は──でも、溢れさせることの出来ない想いを必死に堰き止め、積もるものも掻いては脇へ捨て溶かそうとしたって無理で、そうこうしているうちに私は、降り積もるものは根雪へ、それでも溢れ出るものは、誰の目にも留まることのない気体へと変える術を身につけた。

 私はこの片思いをこうして、熟練の技とも言える技術でもって長年続けてきたわけで、だから──。

「じゃあ。根雪から溶かせばいいってことで、なら、」
「やっ、だめ、お願いだから、ゆっくり……じゃないと決壊しちゃう、なんかおかしくなっちゃうから、」
「だーいじょうぶ。むしろ、しっかり決壊してもらわないと、こっちで受け取れないだろが」

 あーあ。『♪雪がとけて川となって、山をくだり〜谷を走るぅ』なんてBGMを空耳するくらいには私、おかしくなってる……。
 っていうか、なんで根雪のことなんかペラペラ話しちゃってるの? ちょこっとアルコール入れたからって、私チョロ過ぎだし、あーもう、すでにいろいろと、ドロッドロに溶けまくってて……。

「うう……両思い、コワイ……」
「え? それ、饅頭コワイってヤツ? ふーん、それならこうして、」
「ちょ……っ、待って待って、待ってー!」


12/21/2025, 6:17:37 AM

 それから僕は今日のお題『時を結ぶリボン』のことばかりを考えて過ごした。

 ってかさー……こんなん、もはやトンチだろ? なにも思い浮かばねぇ、あーもう次のお題に切り替わるまで時間がない、時間よ止まれー、なーんて……あれ?

 "時を結ぶ"は──そこに、その時点に結び目を作って、固定すること?
 それってもしかして、"時間を止める"ことを意味するんじゃない?

 『時を結ぶリボン』とは。
 時間を止める力を持つリボンのこと、だったり?

 ……ってとこまで、スマホでポチポチと入力を終え、OKをポチると。
 突然、「パパパパーン」という効果音が、耳に飛び込んできた。

「正解! おめでとうございます〜! 正解した方には現物を差し上げま〜す!」

 どこからか聞こえてくる声にキョロキョロしていると、なんの前触れもなくハラリ、と赤いリボンが落ちてきて、僕はそれをキャッチする。

「え……ええっ?! これってそーゆーシステムだったの?」
「実はそうだったんですね〜、まー現物を差し上げられるだけのピッタリした正解は、なかなか出ないんですけどね〜。前回は『秘密の標本』のときでしたかね〜」
「マジか……」

 頭が追いつかない。
 てか、コイツ……この声、誰?

「じゃ、この辺で失礼します〜。この度はおめでとうございました〜」
「えっ、ちょっと?」

 ……と、そんなわけで。
 いま、僕の手元には『時を結ぶリボン』が一本、あるのだが。

 この後、これの実際の効果について記したいところであるのだが……とりあえずやってみた固結びでは効果がなかったので、どうやら蝶結びが発動条件のよう。

 がしかし、僕は靴紐すら結べない──なんなら靴は全部スリップオンだし──ので、目下のところ、蝶結びを練習中。
 この続報は……あー手がつりそう、もう少し時間がかかりそうです、あんまり期待しないでお待ちください!

12/20/2025, 9:45:35 AM

 誰もいない自習室で。突っ伏して寝ている俺の横に、いつの間にか彼女が座っていた。

 顔を上げなくたってわかるくらいには、彼女の香りも気配も覚えている、それはお互いにそうで。
 が、それ以上距離を縮めることが出来ない、それは俺と彼女が、ヘンなところで似たもの同士なせいだった。

「……ズルい、なあ」

 寝ている俺の横で彼女は、そう独り言ち──いやそのセリフ、そっくりそのままお前に返すけどな?
 お互いに、相手が決定的なことばをくれるのを待ってる、とか……先に言ったほうが負け? それって、なんのマウント?

 狸寝入りを続ける俺の髪に、彼女の指が絡むのを感じる。なんとなくそれにイラついた俺は、咄嗟に彼女の手首を掴んだ。

「わ、びっくりした! 起きてたの?」
「………………」

 彼女の問いを無視して、俺は彼女に向かい合うようにして起き上がった。
 彼女の手は掴んだまま、その手をじっ、と見つめてみる。

 あーあ、イマイチ頭が働かねぇ……ん、待てよ?
 俺はいま、寝ぼけてて……例えばこんなことしたって、たぶん許されるんじゃね?

「っ! ちょ、んっ、なに?」

 ぐい、と彼女の手を寄せて、その手のひらにキスをして。細く冷たい指先が驚いて引こうとするのを阻止しながら、ついばむようなキスを何度か繰り返し、そして──。

「なっなによ、なんなの、これはっ?」
「えー? えーと……なんだと思う?」

 振り解いた手でバシッ、と俺の頭をはたいた彼女が、自習室を出てゆく。

 チェッ、なんだよ、そんなにビビんなくたっていいじゃねーか。
 俺だって、こんなふうに──誰かになにかを渡したくなったのは、これが初めてだったんだぞ?



 少し後で学食に行くと、自分の手のひらをぼんやりと見つめている、彼女がいて──それを見つけた俺は、思わず顔がニヤけそうになった。
 フフッ、してやったり……さぁて、こっからだな?

 彼女にやった『手のひらの贈り物』──その感想を俺は、どうやって問い詰めてやればいいだろう?

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