えむ

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11/16/2025, 1:31:36 AM

心地良いから夢でも語ろうと思う

私は何かに追われていて
でも何に追われてるのかが分からなくて
とりあえず必死に逃げて
校舎内を駆け回った
階段を見つけた
本来なら下に降りるのが正解だった
外の方が広くて逃げる場所も多いから
だけど私は上に向かった
駆け上がった先には屋上があった
鍵は開いていた
古いアルミみたいな銀色の取っ手を捻って
広い屋上に出た
だだっ広いコンクリートの塊を蹴って
緑色の編み柵を掴んで登った
でも安全柵は何枚もあって
全部登る頃には息が切れてた
やっと屋上の扉がガチャガチャ鳴って
出てきたのは父親だった
今にも泣きそうで苦しそうにこっちを見てた

心地良いから夢を語ろうと思う

絵を描くのが好きだった
塗り絵とかそういうのじゃなくて
真っ白い紙に女の子を描いて
可愛い服を着せてあげる
漫画家のアシスタントの経験を持つ父親が頭を撫で
私の絵が上手だと褒めてくれた
それから何度も絵を描いた
自由帳は幼稚な絵で埋まった
可愛らしいドレスを沢山描いた
頭を撫でて褒めてくれるのが嬉しくて
いつか描き貯めたドレスを作りたいって思った
綺麗なドレスをデザインして
それを纏って
父親に褒められたいなんて
ドレス作る人になりたいって笑顔で言った
じゃあ将来はデザイナーだねって言われた
だから“デザイナー”が私の夢だった

木漏れ日が綺麗な日だった
目が覚めた日も
嘲笑いながら描き貯めた絵を燃やされた日も
少しだけ涼しい風が木を揺らして
チラチラとシーツを照らしたり
少しだけ涼しい風が木を揺らして
物置でボーッとする自分を照らしたり
綺麗な日だった
でも苦しい日だった

笑顔を作った

『私を産んで良かった?』

その答えを聞かずに父親から離れた

産むんじゃなかったと聞きたくなかったし
産んでよかったとも聞きたくなかった
死んでくれとも言われたくなかったし
生きて欲しいとも言われたくなかった

夢で飛び降りて
夢を諦めた

木漏れ日の跡だけは悲しげに今も夢を照らしてる

多分



お題:木漏れ日の跡
〜あとがき〜
人の夢を嘲笑っちゃいけない
人の好きを嘲笑っちゃいけない
ソレを糧にして飛び越して見返してやる、なんて
考える人間は少ないんです
『夢を諦めた理由にお前のあの言葉もあるよ』
言われないでください
言わせないでください
諦めたのは当人の問題ですけど
その理由に当人以外の名前が出てしまう事ほど
悲しい事は無いと思います
こちらの天気は晴れです
今日も木漏れ日が綺麗だなぁ

11/13/2025, 9:41:46 PM

水も氷も美麗秀麗
他の言の葉一枚舞うべからず
爆ぜる飛沫は衣
尖る氷柱は鉾であり盾

今宵

隆々たる様を
苦渋を耐える女の様を
過去を壊された男の様を

其の眼に灼け
其の魂に轟け
其の総に搦め

曇天を仰ぐ隻眼の姿を
後悔も懺悔も号哭も許されず
氷の如く凍えた身体を抱く最後を

彼の者は生きていた
凍寒の中生きていた
彼の者は生きていた
濁流の中生きていた

生きて生きて生きて生きて

其の先に
何が有るか
遺ると云うか

安寧と共に生を蝕む己が脳で考えろ
幸か不幸か善か悪か正か誤か愛か哀か
掌に遺る重みに堪え
証を残そうと綴れ

其れしか許さぬ
其れしか許されぬ
其れしか出来ぬのだから



お題:祈りの果て
〜あとがき〜
生きてとも
生きたいとも
願った
祈った
縋った
その果てに在るのは

11/12/2025, 4:42:43 PM

スカフィズム

アケメネス朝ペルシア(紀元前500年〜350年頃)で行われていたとされる処刑であり、帝政ローマのギリシア人著述家、プルタルコスの著書『アルタクセルクセスの生涯』にその記録が残る。

だが当時ペルシアではミルクや蜂蜜は高価なものとされており、技術的に罪人が溺死しない設計の船が作れるかも不明。
感染症のリスクからも現実的に不可能なのではと言われている。

『もうし"ない!もうしない"がら"!!』

涙ながらに手足をバタつかせながら男は泣き叫ぶ
涙と鼻水で汚れた顔は赤く腫れ上がりバタつかせる手足も同様

赤く痒く藻掻く

それでも掻き毟る事が許されないのは小舟が男の身体を挟んでいたからだ
大柄な男1人簡単に寝かせられる木製の小舟
縦に長く横幅は狭く
どんな身長であれ手足が露出出来る仕組み

懸命に助けを求める口を塞ぐようにミルクが流れ込む
長く柔らかな金髪に碧い瞳で優しく微笑む彼女
男が吐いても泣いても漏らしても
合計3Lのミルクと1000gの蜂蜜を体内に入れ
顔と手足に丁寧に蜂蜜入りのミルクを塗る
そして小舟を掴んで湖の中心に持っていく

多量の虷が泳ぐ湖は綺麗とは程遠い

だが彼女は気にせず入水して小舟を湖の中心に浮かべる
蜂と蚊と蝿がこれでもかと罪人に群がる
女性にも軽く集るが彼女は罪人のように叫ぶ事なく
臆せず蜂を指先に乗せてソッと罪人の顔に近付けた
まるで指示に従うように蜂は罪人の頬に付いて針を刺す

虫の羽音1つで泣き叫ぶ罪人
慰めの言葉1つかけずに彼女は湖の中心から離れていく
悲鳴を背後に優しく足を撫でてくっついてしまった虷を湖に逃がして
ゆっくり湖から上がり地に膝を付けて指を絡ませた

必死に動かそうとする足が獲物を追いかけて
必死に虫を振り払おうとする手が獲物を無理やり抑えて
必死に振る頭は獲物の事を何も考えずに自分の欲が満たされく事に恍惚とした表情を浮かべ

あぁ…勝手に獲物と捉えられて傷付けられた人はどんなに苦しんだだろうか

逃げる事も出来ずに
助けを求めても誰も助けてくれずに
尊厳を破壊されて目を覆いたくなる姿にされた

何人を手にかけた
何人を壊した
何人が罪人の為に苦しんだ

後悔が募っても懺悔を重ねても罰を与えても
恐怖も破壊も過去も傷も何も消えない

傷付けられた者を救えない

たかが罪人の刑罰一つで傷付けられた人が元の生活に戻れる事は無い

彼女の碧い瞳からはポロポロと涙が溢れた
一度壊れたものは二度と戻らない
同じ形にはなってくれない
死刑一つで全て無かった事にはならない

理解してる
理解してしまってる
だからこうして罪人が苦しみ泣き叫び助けを乞う様を目に焼き付ける

元の生活に戻れずとも自分を傷付けた奴は苦しんだと
残酷な処刑法と人間が語るやり方で死んだと
届かなくても死に近付く罪人を見ながら小さく声に出し続ける

「دلشان را نجات بده」
「بهشون آرامش بده」
「به آنها شادی بدهید」

救済を
安寧を
幸福を

傷付けられた人が前を向けるきっかけの一部に
いや、一部になろうなんて傲慢な事は言わない
傷付けられた人が少しでも
少しでも幸せだと思えるように
祈る事しか許されないのだ

処刑は罪人を更生するものでは無い
処刑は罪を無くすものでは無い
処刑は誰かを救える行為では無い
処刑は誰かを幸せに出来るものでは無い
処刑は罪人にただ死を与えるだけだ

だから彼女は誰も救えない
ただただ罪人の死に寄り添うだけ
彼女の行為が誰かの未来に繋がる事は無い
ただただ苦しみや死を与えるだけ

縋るように傷付けられた人達の未来がこれ以上傷付かない事を願う
泣きながら願う
罪人の阿鼻叫喚を聞きながら願う

それしか出来ない自分を呪いながら願う



お題:心の迷路
〜あとがき〜
迷路って簡単なものからとても難しいものまで沢山ありますよね
答え(ゴール)はあるはずなのにグルグルしちゃったりするような
心の迷路なんて尚のことだと思います
時にはゴールすらあるのかも分かりません
なんならゴールは1つじゃないのが心の迷路です

その中で

その場で蹲る人が居たり
懸命に走り回る人も居て
罪を犯してしまう人も居れば
巻き込まれてしまう人も居て
皆何処かで迷ってたんだと思います

この作品の登場人物である“スカフィズムさん”
通称“フィズママ”なんですが
彼女は彼女の行きたいゴールを見出してます
ですが行き着く事は出来ません
行きたいゴールは明確でも
行きたいゴールは塞がってるんです
遣る瀬無いですね

11/12/2025, 7:17:30 AM

ティーパーティーに必要なものと聞かれたら何をあげるだろうか

やはり“ティー”なのだから豊富な紅茶の種類?
それとも豊富な紅茶を楽しむ為の軽食や菓子?

然しながらそれよりも大事なのがある
紅茶を際立たせるのは菓子でもあるが一つ一つのティーカップやティーポットだって大事なものだ
コレらが無ければ“ティーパーティー”というものの雰囲気が半減するだろう

最初に思い浮かぶのは白い陶器のシンプルなカップ&ソーサー
白い陶器というのは透き通る紅茶の色を綺麗に際立たせる

だがアイスティーとなるとガラスで作られたカップ&ソーサーも綺麗だろう
縁を金色で色付けたガラスのカップにアイスレモンティー、夏場にピッタリだ

シンプルな白いカップ&ソーサーも凹凸で柄を入れたり持ち手の曲線で遊んだり
造り手のセンスや遊び心や技術で“白いティーカップ”も様々な形を生み出す

その形一つ一つで使用者の心を“ティーパーティー”を楽しむ道へ誘ってくれる

Hat・Fill・Ter(ハット・フィル・ター)と名乗るイカレ帽子屋はティーパーティーに関連する物や知識を集めるのが好きだ

時にはハートの女王が好む薔薇園に足を運ぶ
時には色とりどり大小様々な花が咲き誇るキゼルの煙の中で青虫に這われてみたり
時には名無しの森でダム&ディーの喧嘩を眺めたり鹿と会話したり
時には涙の池で水遊びしたり羊とボートに乗ったり鳥獣と会話したり
時には公爵夫人の子守りついでに投げ付けられる皿から着想を得たり
時には涙を流すウミガメなのにウミガメじゃないウミガメの話を慰めながら聞いたり
時にはグリフォンとナンセンスに会話してみたり
時には赤と白の戦いに巻き込まれて白側にされたり
大きな猫と角の生えた馬の決闘に拍手をしたり
時にはプティが落ち掛ける姿を眺めたり
時には白い騎士から少女の愛をこれでもかと聞かされたり
時には列車で蚊と洒落た会話を盗み聞きしたり

それらをイメージしたカップ&ソーサー、ポットは多量にある
長いテーブルに白いクロスを乗せた菓子で彩られる中をよくよく見ればHat・Fill・Terの思い出も記憶も見えるだろう
だが半分以上Hat・Fill・Terは覚えていないだろう
だからまた童話の中を歩きたい
初めましてと言いながら愉快奇天烈な会話をこれでもかと

彼は童話を生きる者であり
童話を愛してる者でもある

アナタが手にするティーカップ
中には何を注ぎたい

香りが好き?
味が好き?
色が好き?
それとも組み合わせ次第だろうか?

楽しいティーパーティーをしよう

アナタが手にしたティーカップで
アナタが好きな飲み物を持って
アナタが楽しめるティーパーティーを

まだ6時なんだから

夢から覚めるには早すぎる



お題:ティーカップ
〜あとがき〜
ティーカップと言えばティーパーティー
ティーパーティーと言えばHat・Fill・Ter
書くしかない(`・ω・´)キリッ

11/10/2025, 9:39:16 PM

【𝓷𝓸𝓷𝓯𝓲𝓬𝓽𝓲𝓸𝓷】

働いたお金で布団を買った
ペラッペラでカビが生えていた
ベチャッとした染みもなんだか
飾りみたいで映えるでしょ?
働いたお金でご飯を買った
じゃがいもの皮の部分
土臭さも癖になっちゃえば
意外と腹に溜まるでしょ?

身体を這う体温で「もっと」
ぐちゅっと合わすお口で「もっと」
離れた膝を閉じずに「もっと」
打ち合わせる凹凸に「もっと」

銅よりも翼を選んだ
それがアンタ達の選択だ
9つの人生喰って喰った
今更喚いて欲しいのか?

犬も見捨てるファミリー映画
語ってやろうか?
ほら、主人公の目が死んでるぜ
早く助けてごらんよ
なぁ
血の繋がりが無いとしても
紙で繋がれば
カテゴリー的には家族なんだぜ?

なぁ、何を泣いてんだ、払うもん払え


働いたお金でお家を買った
無料ってのは高額なんだよ?
三畳半の物置と言えど
住めば都と言うでしょ?
働いたお金で親子を買った
じゃがいもの芽のような
泥濘みてぇな関係つっても
無ければ何も出来ないでしょ?

振り下ろされる拳で「もっと」
暴言を吐くお口で「もっと」
腹を抱え血が出ても「もっと」
背中押されて笑顔で「もっと」

雛よりも雌を選んだ
それがアンタの言う家族とか
苺の蔕さえ喰って喰った
その口で“家族”を語るとかwww

政府も白旗シリアス映画
語ってやろうか?
ほら、静かに手を伸ばしてるんだぜ
包んでごらんよ
なぁ
「あなたは何も悪くないのよ」
名台詞だ!
ほら見てよ
主人公が今居る場所

心がイったら監獄行きだ


ほらほら涙拭けよ
たかが他人事じゃないか
いつか過去に変わる
ヤる事ヤろうぜ
映画は続くんだ


アンタが惹かれたアダルト映画
語ってもいいが
なぁ、掴んだ手を離してくれよ
期待とか重てんだ
なぁ
この電車は反対なんだ
帰れないじゃんか
帰さないとか言わないでくれ

俺が惹かれたコメディ映画
語ってやろうか!
ほら、主人公がマジ笑っているぜ
席はガラガラなのに
なぁ
金も貰わずに抱き合うのは
慣れてないんだ
カテゴリー的にはなんて言うんだ?

愛してる?それは答えじゃねぇじゃんw



お題:寂しくて
〜あとがき〜
家族が居て
友達も居て
お金もあって
趣味もあって
好きな事もあって
学校にも通って
そんな彼にも寂しさがあった

家族は居た
友達は居なかった
お金も無くて
趣味も無くて
好きな事が分からなくて
学校にも通えてない
そんな彼にも寂しさはあった

あまりにも非現実的な現実は脚色されたものとして捉えられる事が多々ありますが
意外と居ますよ、こういう人間
皆上手く隠して世間一般で言う“まともな人間”のフリしてるだけです

子供は親から逃げられないので手遅れな状態で見つかる事があります

時には死んでたり
時には壊れてたり

でも親は子供が苦しんだ時間の何倍も短い時間で許されちゃったりするのが現実です

親というカテゴリーから外れて男女になるだけです
子供は子供のままです
いつまで経っても忘れずに治らずに子供のままです

今自分は幸せな大人なはずなのに子供のままな時があります

冷蔵庫を開けるのが怖いです
鋏を向けられるのが怖いです
お風呂場が怖いです
何かを食べるのが怖いです
物音を立てる事が怖いです
自分の寝る場所に人が居るのが怖いです
ほのかに電気が付いてる部屋が怖いです
首より上を触られるのが怖いです
服や髪を掴まれるのが怖いです

ソレを感じた時に“まだ子供のままだな”って感じて寂しくなります

…まぁ寂しくなったらパートナーに赤ちゃんプレイしてよちよちしてもらうんですけども
ちなみにオムツは履きません
おしゃぶりと哺乳瓶までです

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