誰にも言えない秘密だよ
どこにも吐露しちゃいけない
じゃあ
なんで僕に言うのさ
え、だって
言わなきゃ苦しいもの
苦しいのは嫌いだし
どうせ見られやしないさ
はあ、
まあいいけど
秘密とやらはなんなのさ
私ね、嘘吐きなんだよ
こうやって自己陶酔と
自慰行為を繰り返すんだ
なんだよ、つまんないなあ
もっと大きく恐ろしいものか
そう期待したのに
ふははっ
言ってしまったよ!
まあ、君になら言えるけど
ああ、なんなんだ
馬鹿らしい
ねぇ!
やっとさ、違いが分かったんだ。
この気持ちをどう表現すべきか。
良かったじゃない。
どう違ったんだい?
君の生き長らえる理由が
また1つ消えてしまったけど。
それほどの対価があったのかな。
そう、あるんだよ。
小説家はね、物語を創る人だ。
世界を創ってるのさ。
そして文豪はね、避難した人だ。
この人達も世界を創ってる。
けど、生き様なんだよ。
そうだな、この溢れる連帯感
そして友愛──
あー、はいはい。
くだらないな、その動機。
それで、君の理由は見つかったのかい。
いいや。
理由は消えただけさ。
キスだってさ。
シンプルにしとけよ。
この馬鹿め。
そうだねぇ。
確かにキスは複雑だよ。
けどそんな言い分は…
いやいや。
悪口じゃない。
ただの接物でもないし。
ただの経験則さ。
そうか、そっちね。
でもキスだって複雑だろ。
まぁそうだけど。
シンプルに居ようよ。
この煩悩まみれの愚か者。
この先ずっと、
私は記憶されていたい。
誰かを意図せず救いたい。
100年先?それとも1000年先?
どのぐらい憶えていてほしいのさ。
えぇ、できるだけ長く?
そんなの無理だよ。
それでもいい。
私は歴史に名を残したい。
不名誉でも良いとさえ、
思うほどに、そう願ってる。
ふぅん。
そりゃあ難儀な生き方だね。
まるでマネキンみたいだ。
それなら
1000年先の人間は
きっとマネキンばかりだろう。
勿忘草ってさ。
なんであの名前なんだい。
これに関しては、僕
知ってるんだよ。
昔のヨーロッパでね、
恋人同士が花を贈りあったんだ。
「僕を忘れないで」
「私を忘れないで」 ってね。
それに──
へぇ、草が生えた瞬間に
しおらしくなるんだ?
忘れちゃいけない
そんな意味なのにね。
実に人間らしい。
そうかな。
君の「人間らしい」は皮肉だろ。
むしろ、これは素晴らしいんじゃあないか?