akichanhonpo

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12/15/2025, 10:18:47 PM

明日への光

明日も来いよ

…ぼくは虐められている 
原因は多分虐められてた子を庇ったからだ

ただの喧嘩に持ち込もうとしたが
取り巻きの一人に羽交締めにされ
それ以降サンドバッグになっている

帰宅すればアル中の親父に殴られる

誰も見てくれない
誰も聞いてくれない
生きてる意味あるのかなぁ
もう涙も出なくなった

殴られるのは慣れた
傷は治る
でも気持ちは…

重い足で古びた見知らぬマンションの屋上へ行く
夜の街の景色は綺麗だなと思った
一つ一つが暖かい家なんだろうな
ぼくは柵を越える

「もういいや」

重力に任せようとした瞬間
「クソがき!
人のマンションを事故物件にするなや!」

首に腕が回ってた
また明日がくるんだ

12/15/2025, 6:35:17 AM

星になる

窓の外を見ながら親指と人差し指で輪っかを作るが
少しだけ隙間をあける

「つかまえた!」

私はこうやって毎晩遊んでる

新型コロナウィルスが確認されてから
病院では患者への面会は制限
そういうのを知りつつ横目で見てたが
流行が収まってから検診に行くと何だか影が写っていたと言われその後の精密検査で即入院
若くしてレベル4らしい

レベルはマジでゲームだけにしてくれよ

もう長くはないとの説明
面会制限を撤廃した病院はあまりなく身内もいないので
誰も来ない

星になれるかわからないが
何年もかけて地球上の誰かに光を届けたら
一瞬でも捕まえてくれるかな?

虚無感の中
数滴の滴を垂らす
目を閉じて今日も想う
起きる前に星になれますように

11/30/2025, 2:15:14 PM

君と紡ぐ物語

僕は家に一番近く一番安い飲み放題のスナックへ
週3〜4日通ってる
理由は家では映画を見ながら飲むのだが
ウィスキー1.8lがすぐになくなること
割りもののこと
氷のこと
面倒だからだ

店の中はカウンターに椅子が5脚
ボックスは4人掛けが4つという所だ
スタッフはママに従業員の女の子が二人
いたりいなかったりな黒服が一人
まぁいつもピン飲みで面倒みてもらってる

そうしていつも通りに飲みに行く
僕は大体カウンターの入り口から2番目に座る
混んできたらすぐ帰られるようにだ

今日は黒服がいない
噂だと日中も働いてるとか
単純に凄い奴だと思っている

いつも通りハイボールをもらう
ペース的には10分で一杯ただ酔うために飲んでいる

…カラオケが入る
今時の高音で歌うアーティストの曲だ
上手いし高音も綺麗に出せている
「すご〜い!
この歌難しいよね〜」
スタッフの気になる子が歌った客に言っていた
僕は低音しか出ないし
歌もそんなに上手くないから勝手に敗北感を感じていた

歌っていた客は僕が飲みに行く度に歌っていた
僕はスタッフの子を眺めていれば良かったのだが
「たまには歌ってくださいよ」

客に言われ断っても歌わされた
多分
自分との差を見せつけたかったのだろう
僕は歌わされる度に気持ちが冷めていった

数週間後
僕は別の店の常連になっていた
ママ一人でやってる店
圧をかける人もいない
気持ちよく飲んで帰るようになっていた

この店に馴染んできた頃
…ガチャ
「あー!
久しぶりじゃないですか〜!」
あのスタッフの子だった
まぁ僕はただ飲むだけだったが…
やたらにこの子に絡まれる

「何でお店に来てくれないんですか〜?」
嘘はついてもしょうがない
カラオケの件
僕の飲む理由を素直に話した
彼女への気持ちは伏せたまま
それから口数が減って出勤の時間だと帰っていった

店のママに聞いたが初めて来たらしい
新規の客を探しに来たのだろう

後日また彼女は来た
僕に店での愚痴や悩みなんかを話すようになってきた
何でここに来るんだろう?
悩みなんて聞きそうな客はついてるだろうに
何度も同じことを繰り返し
疑問だけが膨れて僕の心を抉る
この店に来るのも潮時かなぁ?

そう思ってグラスを空けると
店のママに言われた
「あの子
あんたの事が好きなんじゃないの?
あんた店に来て愚痴るわけでもなく
飲みたいって言ったら飲ませてくれて
程よい話と記念日ごとのシャンパン入れるし上客だよ
綺麗な飲み方で若い子なら惚れるわね
ふつー

だから
ちゃんと話して結果が出ないなら
店を変えなさい」

全てバレてた…

後日その子は来た
いつも通り愚痴を吐いていた
そして
好きだと言いかけてきた
「待って」
僕は気持ちを伝えた
別に結果じゃないから貪欲に僕から全てを伝えた
彼女は嫌われたと思ってたらしく
ずっと泣いていた
お互いの気持ちは同じ所にあって
同じベクトルが同じだけ向いてる事を確かめた

「仕事でしょ?
送るよ」

僕らは手を繋いだ
お互いを見失わないようにできるだけ強く

「がんばってくるからお迎え頼んでもいいですか?」

振り返ってそう言う彼女は強く見えて
とても綺麗だった

これは飲み歩く僕と
そんな彼女の紡ぐ物語だ

これからずっと続いてく物語

11/30/2025, 2:07:32 AM

届かない響き

…カランッ

テーブルに置いたグラスの氷が溶けたようだ
多分夜中に2杯くらい飲んでそのまま寝たんだった
気持ち的にはどうってことないつもりだけど疲れてるみたいだ
首周りが痛む
カーテンの隙間から光が入るから朝らしい

ふとライターを取り出す
昔タバコも吸わないのに何故かもらったライター
いらないって断っても押し切られ手元にある
中のフェルトが赤く1〜2年くらいしか製造されてないらしい
まあプレゼントとか興味もなく趣味もないから
たまにはとあげたい物が見当たらなかったと推測してた
ステンレス製や高級なガスライターと違って
鈍い音を立てて火を着ける
そのまま部屋の隅のテーブルの蝋燭に火を灯す

− ショッピングモールの駐車場
車の中の僕ら
妻は後部座席で子どもをジュニアシートに乗せる
いつもの笑い声
買ってもらったオモチャで帰ってから遊ぶんだとはしゃぐ子ども
いつもの車内なのに車体と視界が歪む
一瞬映像が途切れた
額が赤く染まる
ハンドルでぶつけたみたいだ
後部座席の二人は気絶している
事態が掴めない
後ろから車が来る
再度衝撃が走る
どうにかしたいのにこちらの車はエンジンが始動できない
ベルトも外れない
二人だけでも助けたいのに
後ろの車はバックと前進を2度繰り返した
ハンドルに頭部を何度もぶつけ気絶してた自分は
病室で目覚めた
後部座席の二人は助からなかった

突っ込んできた車は年寄りで
ニュースではミサイルだの老害だのと言われていた

そんなことはどうでもいい

…俺がお前に何かしたか?

− 蝋燭の揺らぎを眺めながら思い出していた
家の中は色を失い
笑い声も大切な人たちの自分を呼ぶ声をも失った
もう涙も出ない
グラスに氷とアルコールを足す
カーテンの隙間からは光が入る

家鳴りしか響かないこの部屋で
視界を歪めては眠りにつく
夢の中でしか声も手も届かない

11/29/2025, 4:39:21 AM



…ん?
目の前には見慣れた床が広がる

そうだ
寒すぎて炬燵で寝たんだった

昨夜はかなり冷え込んでたから
暖まってるうちにウトウト寝てしまってたな
目覚ましがてら家の前でも確認するか

俺は徐ろに起きて
寝起きでフラつきながら玄関へ向かう

生まれつきだらしない性分で戸は自分が出入りできるだけしか開けない

…ガララ
アルミ製の昔ながらの戸を開けて表へ出る
近所の扉は押したり引いたりするタイプで重くて敵わないが
うちの戸は軽く開けられる

それにしても視界に入る雑草が白っぽい
吐かれた息と同じ色をしている
辺りを見渡しながら足を一歩前に出した

ガシャッ

音と同時に強烈な冷たさが足の裏に伝わる
…何だ?
俺の全身の毛が逆立ち後ろに飛び跳ねてしまった
土が盛り上がって変な隙間が空いてる
そう考えていると両脇に何か入ってきた
そのまま抱えられクルッと向きを変えられると

また逃げようとしたなー?
霜が降りたおかげで探す手間が省けたよ
全く油断ならないなぁ

こいつは同居人
俺の機嫌を取るために存在している

もう逃げちゃダメだぞ〜
わかった〜?

…ニャオ

とりあえず返事だけする
旅の計画は頓挫したから炬燵で寝直すか

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