あれほど赤く
燃え立っていた炎は
音もなく消えて
灰の中からは
もう
一筋の煙も生まれず
その灰さえも
時の風に吹かれて
儚げに舞い散っている
胸に刻まれた火傷の
突き刺す痛みは
流しすぎた涙の底で
眠り始め
言葉は失われたまま
忘却の砂に
埋もれていく
わたしが
少しずつ
少しずつ
あなたから
遠ざかる
✩ 想い (78)
ふたりでいることが
つらくなり
ひとりぼっちに
戻ろうと
あなたと
サヨナラしたけれど
ふたりで作った
想い出が
キラキラ煌きながら
どこまでもついてきて
ひとりぼっちにも
ふたりぼっちにも
なれなくて
# 二人ぼっち (77)
銀色に輝く
月の舟
今宵の行き先は
あなたの
夢の中
届けものは
わたしの
恋心
夜が明ける
それまでに
あなたが目醒める
それまでに
想いを乗せた
月の舟
ゆらりゆらりと
夜の河を
渡ります
# 夢が醒める前に (76)
花に
蝶々が
歌うように
小枝で
小鳥が
歌うように
浜辺で
波が
歌うように
夜空で
星が
歌うように
どうぞ
わたしに囁いて
胸が高鳴る
あの言葉
「ずっと一緒だよ」と
歌うように
囁いて
# 胸が高鳴る (75)
あなたの
曖昧な優しさの
残酷
いっそ
ズタズタに
傷つけて
流した涙で
溺れ死ぬほどに
✩ 曖昧な優しさ (74)
(不条理)