『死人を飲み込んだ山は
　秋になると美しい深紅の炎を揺らす

　何故って？

　死んでも美しく在りたいと思う
　人の性(さが)の所為さ』


「ばあちゃんの言葉って、いつも燃えてるよなー」

「そうかい？
アンタの言葉だって厨二真っしぐらで燃えてるじゃないか」


　同趣味の『書く習慣』を見せ合いながら
　どっちがより上手に書けてるかで
　祖母と孫は、言の葉を燃やしている


#燃える葉

　中秋の名月
　オオカミに変身したままの僕は

「今日だけ許して……ね」

　罪悪感を拭えないキスを
　月を見上げるウサギのキミの頬にした

　だって
　月が綺麗なんだもの


#今日だけ許して

　今はまだ遠い足音
　近い将来その隣りに並びます

「ハァー。ぼちぼち往くか、愛機(あいぼう)！」

　空に散った貴方よりも
　敵中突破は得意なんですよ、俺

　操縦桿を握る指にグッと力を入れて
　エンジンを唸らせた


#遠い足音

　『モンブランとスイートポテト、どっち食べる？』

　残業中に受信していた旦那からのメッセージ
　仕事よりも悩ましい問題をぶっ込んで来るもんだっ

　くぅー！ 帰りたいなぁ……。


#秋の訪れ

　"物語を書く"という執筆の旅は
　いつでも終着できる

　だけど
　『もっと読みたい』のハートの通知が届く限り
　まぽわぽんの筆は止まらない

　だから
　一年経っても、二年経っても、旅は続く


#旅は続く