〇都々逸
三月晦日の嘘つきたちは零時過ぎたら動き出す
〇短歌
「私はね甘い嘘なら要らないの」夜の妄想ドラッグでいい
〇俳句
望月や深海魚さえ空見上ぐ
〇詩
『忘れた夢』
夢を見ていた
微睡みの中だった
何も覚えていない
優しい夢だった
君は笑っていた
私も笑っていた
幸せな夢だった
何も覚えていない
覚えていなくて良かった
今日も現実が流れていく
テーマ:特別な夜
〇都々逸
小さなあぶくが潰れるほどの気圧で生きてる深海魚
〇短歌
サンゴ礁足に刺さって痛いからサンダルを履く沖に流される
〇俳句
秋の海ガラス細工に閉じ込める
〇詩
『消息不明』
自殺の定番って海だよね
そう言って君は消えていった
行方不明、その実海に消えたのかもしれない
けれど、浜辺に君の気配を見る
深海にいるような気がする
ベニクラゲにでも、なってくれたらいいのに
永遠に私は貴方を愛したい
だから、海の底で待っていて
私が藻屑と化すその日まで
テーマ:海の底
〇都々逸
君に会いたい夜さりの縁で何とか死なずに生きている
〇短歌
すれ違い君の「こんにちは」の声が背に消えていく既に会いたい
〇俳句
東北忌別れの言葉さえ攫う
〇詩
「夢を見ていた」
夢を見ていた
君は泣いていた
夢を見ていた
君は笑っていた
景色は色褪せる
感情は鮮やかなままなのに
波が全てを攫っていく
涙は灰色、えくぼも灰色
現実まで灰色になりそうな君の気配を
吸って、吐いて、吸って、吐く
君に会いたい
テーマ:君に会いたくて
木枯らしというものが何か、
アタシたちは知っている。
知識で、体感で。
今は冬であるのだし。
なのに、思い出せない。
肌を撫でるあの風。
皮膚を引き攣かせるあの風。
都会っ子だから?
アタシがぼんやりさんだから?
だから目を覚ますような木枯らし、
アタシは知らない。
テーマ:木枯らし
空白を覗く僕らの足元は
炎上の後霞に溶ける
飲み込めやしない貴方の偏愛も
嬉しく思うことを選んだ
「どうしても」そんな情熱ありません
貴方の靴を眺むばかりで
theme:どうしても…