「このように、この生物界では食物連鎖が行われています」
教科書にも書かれているピラミッドを、黒板にもわざわざ書いた先生が話を始める。お世辞にも上手いと言えない絵は、もはや教科書の補助なしではわからない。わかるのはそれぞれの大きさが違うってことだけ。下層のひとつなんてチョークを軽く塗りつぶしただけ。
「食物連鎖の興味深いところは、最上部にいる動物も食うだけではないということですね。みんな食って食われる関係にあります。植物や微生物なんかは、草食動物に食べられるのが一般的です。細かくみれば間に植物が入ることもあります。そして、草食動物を食べるのは肉食動物です」
タブレットから画像を検索する。「食物連鎖」と検索すればピラミッドのイラストやら、動植物の写真に矢印をつけた資料がすぐに見つかる。
先生は黒板に向かって話し始める。
「この連鎖のイメージとしては、海の場合ミジンコなどの微生物、小魚、鯨、陸地の場合は草、うさぎ、ライオンがわかりやすいですかね」
どうやらチョークの塗りつぶしはミジンコのようだ。
「そして、鯨やライオンなどの動物が死ぬと養分となって、微生物や草の成長になったり増殖させたりします」
へーと思う。ピラミッドより輪っかで表してくれればいいのに。
「この世界は弱肉強食と言われますが、絶滅するのはこの連鎖から外れたためという考えもあるくらい、この循環は大切なものです。といってもある一説程度で教科書に載せるだけの根拠はまだ見つかってません。ということでテストには出しません」
先生は「教える」先生ではなく「調べる」先生になりたかった人だ。ただ、なりたかったものに今でも時々引っ張られていると思う。
検索した画像をスクロールしていく。
ミジンコを見つける。やっぱり全然違う。何気なくそのサイトを読んでいく。
たくさんの人が住んでいるこの地球も
はじまりは小さな命でした。
2/24/2026, 10:37:48 PM