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この想いを胸に留めて何年の月日が経っただろう。
あなたの隣に他の女の子が季節の移り変わりのように横を歩いて、心臓にチクチク針が刺さる。わたしの心、針山じゃないんだけど。

「お前と居ると気が楽だわぁ」

だったら私とずっと居ればいいじゃん。こうやって放課後に教室でだらだらお喋りするのも付き合ってあげるし、アンタの好きな事ぜんぶ付き合ってあげるのに……付き合わせてよ。
一生このまま、ずっと、彼が他の誰かと添い遂げるのを見送る事しかできないのかな。
そのころにはーー知らない誰かが私の隣にも居るのかな。

「でもさ、私も恋人出来たら一緒に居られないよ?」
「はあ?誰だよそれ。俺を通してから付き合えよ」
「なんでアンタを通さなきゃいけないの。誰目線よ」

お前に娘はやらん!なんて昭和のドラマじゃないんだから。心の中で溜息を吐くのに対し、彼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。え、何だそれ。

「誰目線って……そりゃあ、俺とお前の仲だし。付き合い長いじゃんか。お前が泣かないようにしてやろーと思ってんの!」
「それならアンタも私を通してよね。彼女コロコロ変えちゃってさ」
「だってそれは……元カノと遊んでても、お前の事が頭に浮かんで……仕方ないだろ」

言葉が途切れ途切れになっていく先を聞く度に、心臓がどくんどくんとスピードを早めて、針山に刺さった針が吹っ飛んでいく。
何それ、まるで恋してるみたいじゃん。そんな事言われたら期待しろって言ってるようなものだけど、こんなに鈍感だったっけ?
でも、ここで一歩踏み出さなきゃ、何も変わらない。あっちから告白されるのなんて待ってらんない。もう他の女の子に先をこさせない。
彼の名前を呼んで深呼吸して息を整える。大丈夫、がんばれ私。


/もう一歩だけ

8/25/2025, 3:57:12 PM