「戻りましたーって…え?」
冷たい音を鳴らしながら、彼は扉を開いた。
そこは四つのデスクが収まる、こじんまりとした己の所属する課の居場所。
彼の視線の先には、部屋の隅っこでうずくまっていた、後輩が居た。
「走勧(そうか)っち、どうしたんすか?
そんな、ダンゴムシみたいに丸まって…」
「うぅ…順(じゅん)さん…私、呪われてるんでしょうか…それとも、恨みを買ってしまったんでしょうか…」
「俺らの仕事的に、呪われもするし、恨まれもするだろうけど…どうしたんっすか?」
怯えながら話した後輩は、デスクに置かれていた、一枚の紙を指差した。
順と呼ばれた男性は、折り畳まれた紙を開いた。
「………なんすかこれ」
「わからないですよぉぉぉ!10年後の私は今こうなんですって、よくわかんないこと書かれてるしぃーーー!」
「冗談にしても訳わかんないっすね。"正義のアルカナを受け継いだ"、"髪が長くなってツインテールになった"、"剣を自由自在に浮かせて飛ばせるようになった"、飛べるようになった"…」
室内に、沈黙が流れた。
時計の音だけが、カチカチと鳴り響く。
「え、しょぼ」
「悲しめば良いのかわからないです〜!」
「なんかもっとこう…偉い人になったとか…不老不死になったとか…"アルカナを受け継いだ"は凄いけど」
いたずらかなぁ、にしてはしょぼいなぁ。
と呟き、それをゴミ箱に捨てた。
お題『10年後の私から届いた手紙』
2/16/2026, 9:35:38 AM