揺れるキャンドル
思い立って、夜の街に出た。
真っ暗で体の芯から冷えるような寒さの夜。
雪はまだ降っていない、けれど、もうじき降るだろう。
商店街に着くと、イベントブースでキャンドルナイトはやっていた。
周りはカップルや家族だらけで少し肩身が狭かったが、そんなのどうでもよくなるくらい、無数のキャンドルが揺蕩う光景は圧巻だった。
しばらく楽しんで帰ろうとしたとき、ちょうど空から雪が降ってきた。
「……あぁ雪。きれい、だけど…寒い。」
「やっぱ降ってきたかぁ。…さみ〜。」
お互いの独り言が聞こえて、目を見合わせた。
「あはっ、雪、降ってきちゃいましたね。寒いっすねぇ。……あ〜、あの。良かったら、もう少しキャンドル見ていきません?」
気さくに話しかけてくれた彼に最初は警戒したものの嫌な気はしなかったから、私は「はい。」と頷いた。
12/23/2025, 10:55:57 AM