ある日、僕の背中に羽が生えた。
びっくりはしたけど、誰だって一度は生身で空を飛んでみたい。その夢が叶ったことで頭がいっぱいで、動揺してる時間なんてなかった。
次の日、僕は家族や友達に羽を見せて自慢した。
かなり反応が薄くて、僕はびっくりした。羽が生えたときよりも…ね。
羽が生えてからの僕の移動手段は「空を飛ぶ」一択だった。一度だけ、離陸してきた飛行機にあたりそうになったけど。
休日は町の空をぶらぶら。クラスメイトを空から眺めるのが結構楽しかったりする。
「今日は誰を観察しようかな~。」
……ストーカーとかいわないでよ?空から見てるだけだから!お、委員長だ。
今日は委員長に空からついていくことにした。委員長は三年くらい前に出会った親友だ。いつだって僕のことを見て、手を差し出してくれるような…。ちなみに呼び方が委員長なのは、出会ったときそうだっただけで、今はあいつ、日課係。ややこしいから、そろそろ呼び方変えないとな。
そんなことを考えながら、委員長についていく。
一瞬の出来事だった。委員長の後ろからきた車が、突っ込んできた。
「え…………?」
状況が飲み込めないまま急降下する。
急げ、急げ、急げ…!!!
「いいんちょう!!!!」
「……………………ん?」
「良かった~~~~、委員長、今車に引かれてたぜ。」
「お前なんで……!!ああ俺…、そういうことか…。お前…ずっといたんだな。」
「ずっと?ずっとはいねぇよ、今日はたしかに委員長を空から観察してたけど。」
「なにいってんだ…。お前…死んでんだよ……。」
「え。」
「気付いてなかったんだな。お前がいなくなって、俺結構寂しかったんだ。今日だって、お前の墓参りにいこうと…。」
そう言いながら、委員長は涙を流す。
「そう…だったんだ。でも…でも死んでからだって、羽で空飛べたり、みんなを観察したり...色々楽しいことあるんだぜ。」
「お前らしいよ。」
委員長は涙を流したままの顔でふっと笑いをうかべた。そして、委員長はゆっくりと立つ。その背中には、羽が生えていた。
「さあ行こう、創汰。」
「行くってどこにだ?」
委員長は涙目のままにやっと笑う。
「上に決まってんだろ。」
僕も笑い返す。
「ああ、いいんちょ…、いや、太陽!」
8/21/2025, 11:44:32 AM