今回のお題は「明日への光」。
明日への光速計算のおはなしをご紹介します。
ここではないどこか、別の世界に、世界線管理局という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
その日は経理部で小さいような大きいような、ともかく事件が発生中。
法務部が原因特定のために、あっちを調べたりこっちを調べたり、そっちで聞き込みしてみたり、
あっちこっちを調査している間、
ズダダダダ、ダダダズダダダ、ダダダダン!
規格外に高速、すなわち光速も良いところのスピードでもって、電卓を叩く局員が居ました。
経理部の局員です。
管理局ではビジネスネーム制を採用しており、
その局員は、マンチカンと呼ばれています。
ダガダダダダ、ドダダ、ダダダズダダズダダダン!
マンチカンは最近1〜2年程度で入局してきた新米局員。最近ようやく経理の仕事を覚えました。
ズダダダダダダ、ダダダ、ダガダダダズダダダン!
経理部のコンピュータリソースを全部ぜんぶ事件の解決に総動員しておりますので、
伝票の計算は、マンチカンが電卓で、ダダダダン!
高速、もとい光速計算するのでした
が。
「ロシアンせんぱぁぃ!!」
ダダン!全部の計算を異次元のはやさで終了したマンチカン。先輩のロシアンブルーに言いました。
「何回やっても!合計が!合いませぇん!!」
そりゃそうです、マンチカンの計算が合わないのが、まさしく「事件」のメインなのです。
前日間違いなく収支を確認した資金が、その日の昼から妙な方向にズレてズレて、
すなわち、管理局の中から資金をイジられていることが、その日のうちに発覚したのです。
要するにデータ上の資金強盗です。
どうやら、管理局を推しの仇のごとく敵視している組織が、嫌がらせをしているようなのです。
「あのねマンチカン」
完全に混乱状態のマンチカンに、
先輩のロシアンブルー、言いました。
「どこがどれくらい合わないか、探してるのよ」
ズレを探して、差額を見つけて、記録する。
それがマンチカンの、今日のお仕事です。
だけどマンチカン、敵襲とかハッキングとか、ともかく外部からの攻撃に慣れてないのです。
去年いきなり攻撃的な組織がケンカを売ってきたときも、マンチカンはビビってしまって、
カチンコチン、怖くて固まっておったのです。
「大丈夫、マンチカン?明日までに特定できる?」
「うぇぇぅ、がんばぃます」
「ほら深呼吸して。涙拭いて。明日までよ」
「がんばッ、がんばぃまぅ、ぅえぇぅ」
「本当に大丈夫?」
「うぅぅ」
「ちょっと休憩する?」
「ぅえぇぅぅ……」
ダダダダダ、ズダダダダダダン!
そろそろお題回収です。
期限であるところの明日に向けて、マンチカン、電卓を叩いて叩いてダダダダン!
明日への光速計算を、続けるのでした。
「マンチカン。マンチカン」
「なんですか先輩」
「休憩しましょ。ね。イーツ取ってあげるから」
「うぅぅ。 ゴチになります。 おにく。さかな」
「資料が汚れちゃうから飲み物オンリーよ」
「おにくぅぅぅーー」
ダダダダ、ズダダダン!
明日への光速計算は、当分、続きましたとさ。
12/16/2025, 9:57:35 AM