彼女の処刑の時間は午後三時。
丁度教会の鐘が鳴る時間だ。
傍若無人な王女はその時を持っていなくなる。
今頃広場では大罪人の登場を民衆たちが今か今かと待っている頃だろう。
やりたい放題でわがまま三昧の王女と聞いていたが、こうして処刑されるのを大勢が望んでいると知ってしまうとどうにもやるせない思いがする。
まあそれは俺があの国にそれほど思い入れもないからだろうけど。
しかし齢十四の王女様を支えていたはずの家臣たちはみんな彼女を置いて逃げ出したと噂が流れているが、真に悪なのはそいつらなんじゃないのか?
ま、王女も王女で振られた腹いせに緑の国の女達を全員殺せなんて命令出しちまったからなあ……
それを諫めるのが役割である家臣たちも自分可愛さにその命令を通しちまったんだろうな。
そしてその結果がこれというわけだ……なんだかなあ。
……ああ、三時だ。
やけに遠い鐘の音が聴こえてくる。
そして民衆たちの大歓声も聴こえてくる。
……あの国はどうなっていくんだろうな。
散った命が報われるような国になりゃあいいが。
ま、後はなるようになっていくだろう。
悪ノ娘はもういないのだから。
§
元ネタは悪ノPの『悪ノ娘』です。
対である『悪ノ召使』とセットで聴いて一つの物語になる曲です。
よかったら二つとも聴いてみてください。
12/13/2025, 3:06:25 PM