君が見た夢
ある日突然、君は僕に話しかけるようになった。
僕は影が薄くて友達もいないような人間で、君とはなんの接点もなかったのに。
ある日「どうして僕に話しかけてくれるの?」と聞くと君は、
「夢で見たの。」と一言だけ言った。
「どんな夢?」と聞いても君は教えてくれなかった。
それから時は経って、僕も君も大人になった。
僕と君の左手には同じ指輪が光っている。
また君に聞いてみた。
「学生の頃、僕に話しかけるきっかけになった夢は結局、どんな夢だったの?」
君は少し考えてから口を開いた。
「実は言ってなかったんだけど、私、小さい頃から予知夢を見るの。今まで見た夢は必ず現実になっていた。あの時、見たのは私があなたのお嫁さんになる夢。」
そう言って笑うと、君は僕の手をぎゅっと握った。
12/16/2025, 11:03:29 AM