—面会—
雪が降る時、この街はやけに静かになる。
特に今のように暗い夜は、車通りもないし、人も家から出ない。
僕は今、夜の街で一人っきりだ。
『ごめん、オレやっちまった』
一時間前、面会室で兄は泣きながら僕に言った。兄は強盗で捕まった。
生活費を稼ぐためだったという。両親のいない僕たちは、いつも貧困状態だった。でも、少なくとも強盗をするほど追い詰められてはいなかった。
『どうしてそんなこと……』
『お前、もうすぐ誕生日だっただろう』
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが切れる音がした。
気がつけば、椅子を飛び蹴って立ち上がっていた。近くにいた看守に制止され、触れることができなかった。
『ふざけるな!そんな理由でやったのか!』
兄は俯き『ごめん』と謝るばかりだった。
僕は気持ちを抑えられず、強制的に面会は終了した。
「本当にバカだ……!」
夜の街に呟いた。
雪の夜は静寂に包まれており、僕のすすり泣く音がやけに大きく響いた。
お題:雪の静寂
12/18/2025, 3:24:27 AM