たからばこ

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「同情かい?」

目線の先にいたあいつは、いつの間にか目の前にいて。猫のように双眸を細め、俺の顔を覗き込んだ。
日常茶飯事だと、慣れているとお前は言う。でも、それなら、お前のその苦しそうな顔はどう説明するつもりなんだ。
これは、ただの同情じゃない。俺がガキの頃から姿ひとつ変わりやしない、そんな化け物じみたお前に向ける俺の感情は、同情なんて生ぬるい言葉で一括りにできるものなんかじゃない。
まっしろで今にも折れそうな細い手首をがしりと掴む。

「俺と行こう、どっか遠いところに。」

2/20/2026, 7:52:49 PM