凍てつく鏡
彼女の持っている鏡が珍しく曇っていた
よく見たら氷の層が一枚張っている
「割らないのか?」
「そういう日もある」
そういう日が重なって一枚の層を完成させたと
僕は直感した
割らなければ、鏡が重くなる
「何があった」
「え、急すぎない?」
「いいから」
話を聞く限り、急な雨と気温低下で拭く時間がなかったとのことだ
つまり、周りの環境が彼女の鏡を凍らせたということだ
「飲め、ホットミルクだ」
「……ありがと」
キョトンとした彼女の顔が溶けていくのを確認した
僕も少しだけ、甘いホットミルクを飲んだ
12/28/2025, 7:44:55 AM