こひる

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『物憂げな空』

オレンジ色の夕焼けに鉛色の厚い雲が覆い被さった空。

空は何も隔てずに繋がっているはずなのに、どこかあの町のものとは違う。

今朝、生まれ育った町を出て、この町にやってきた。

見送りに来てくれた友人達は騒がしく手を振り、母は静かに涙した。父は来なかった。僕は新幹線の中で何年振りかに泣いた。周りの乗客の目に恥ずかしさは感じなかった。

今まで一人でこんなに遠くまで来たことも、孤独を感じたこともなかった。

初めて見る風景、新たな人間関係、真っさらな作業着

食べるものの味が違う、周りの人間の話す言葉に違和感がある、誰一人僕を知らない、誰一人僕を見つけて笑顔になることはない。

できあがったばかりの小さなコミュニティでは、遠慮の気持ちが入り混じり、安らぎを感じない。今日だけで笑い方を忘れてしまっていないだろうか。

あっという間に過ぎた一日に充実感はなく、感じたことのない疲労感が残る。

バスの窓に見慣れない夕焼け空が広がり、ゆっくり目を閉じる。

早く知っている声が聞きたい。

そして、愛おしい町の今の空の色を教えてほしい。

2/25/2026, 12:29:15 PM