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 贈り物に、結ばれていたリボンは、捨てがたい。それが美しいだけでなく、結ばれてから、解かれるまでの短い役割を思うからかもしれない。

 そんなリボンたちを、箱に入れている。たまに取り出して、何かに結んでみたり、ひもの代わりに使ってみたりする。中には、使うことはなく、しまってあるリボンもある。

 大切な決断をした時に、もらったリボンは、小さな袋に入れてある。ひときわ白く、つやっとした光沢があった。あまりに美しかったのと、その時の気持ちを残すために、とっておいた。久しぶりに取り出すと、その色もつやも当時の輝きを失っている。

 過ぎてきた長い年月を思う。リボンとしての役目はとうに過ぎている。でもまだ手放す気にはならない。もう少し一緒に時を重ねることにした。

「時を結ぶリボン」

12/21/2025, 9:23:52 AM