るに

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真っ暗な部屋。
クリスマスだというのに
ツリーすらない
しーんとした静かな部屋。
プレゼントなんかもちろん無くて
いい子って褒められたのも
随分昔のことで。
服なんか、髪なんかお構い無しに
床に寝っ転がる。
冷たくて硬い。
でも私には暖かく思えた。
外は寒い。
私も冷たくて寒い。
人肌が恋しくなってしまうのも
仕方がない事。
コイビトなんか
私に出来るはずもなく
クリスマスが終わっていく。
駅では別れを惜しむカップル。
バス停では抱き合い、
じゃあねと手を振るカップル。
こんなクソ寒いってのに
私以外はみんな暖かそうで
ずるいなあって。
重い体をあげて
冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
ぷしゅっ。
缶を開ける音は
いつ聞いてもいい音。
しゅわしゅわと炭酸の音が
口いっぱいに広がる。
やっぱぼっちはビールでしょ。
空気に乾杯して
私は幸せでいっぱいになる。
胃にビールが注がれて
満たされていく。
何もかも楽しく思えるくらい、
嫌なこと全部忘れてしまうくらい。
"Good Midnight!"
いつの間にか外も真っ暗。
酔いが覚めて
また苦しい独りになった。
遠い目で
外の暗い青色の空を眺める。
来年の今日こそは
幸せになれますようにと
祈りを捧げて。

12/25/2025, 3:48:27 PM