るに

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12/28/2025, 5:36:58 PM

ちょっぴり新鮮な
新しい空気。
心の旅路に
猫は共についてきてくれる。
知る人が誰もいなくても
私はひとりじゃない。
猫はずっとついてくる。
私が買い物に行く時も、
私が魔法を使う時も。
私の魔法を
猫だけは好きだと言ってくれた。
きらきらと
星を出すだけ。
チクチクして痛いし、
空にも浮かばなくて
落ちていくばかり。
それでも本当に綺麗に煌めいている。
居心地の悪いこの世界で
猫だけが私の居場所。
"Good Midnight!"
新しい街。
新しい人が
私と猫を迎え入れる。
役立たずの
この魔法でも。

12/27/2025, 4:48:09 PM

分厚い氷がそこら中に広がる世界。
思ったよりも寒くはないが、
他より寒く、
まるで凍てつく鏡。
なんせこんな氷しかないとこだから、
教育を十分に受けてない。
この比喩とやらが
正しい使い方なのか、
ここの誰も知りやしないし
気にもしない。
氷売りの仕事は朝早い。
どの氷をどの分だけ
取って持っていくか、
あらかじめ決まっている。
ツルハシをテンポよく
同じ力の強さで振り下ろし、
取れた氷に紐を括り付け
持っていく。
荷車に乗せて、
何人かで押して運ぶ。
氷売り仲間はみんな
こんな寒い中でも平気だった。
けど、
私は冷たいのも寒いのも
何故か大丈夫じゃなかった。
毎日手袋を5枚重ね、
コートを重ね着して作業していた。
"Good Midnight!"
力仕事だけに見えて
こんな所にも
才能って、技術って、
いるんだなぁって。
私はただ
凍てつく鏡のように
そっと輪から外れていった。

12/26/2025, 4:53:29 PM

雪、雪、雪。
最高気温は5℃。
最低気温は0℃。
外に出た瞬間から
風と空気で一気に冷やされる。
肺は冷たい空気を吸い込み
激しく咳き込むことを要求する。
鼻は冷たく赤い。
手足は刺すように寒い。
いつしか白い雪が
空から降り注ぎ始めた。
傘を持っていなかった私は
頭に雪を乗せて帰った。
"Good Midnight!"
寒さで全てが包み込まれた世界で、
街灯で照らされる
雪明かりの夜に
真っ白なヴェールを。

12/25/2025, 3:48:27 PM

真っ暗な部屋。
クリスマスだというのに
ツリーすらない
しーんとした静かな部屋。
プレゼントなんかもちろん無くて
いい子って褒められたのも
随分昔のことで。
服なんか、髪なんかお構い無しに
床に寝っ転がる。
冷たくて硬い。
でも私には暖かく思えた。
外は寒い。
私も冷たくて寒い。
人肌が恋しくなってしまうのも
仕方がない事。
コイビトなんか
私に出来るはずもなく
クリスマスが終わっていく。
駅では別れを惜しむカップル。
バス停では抱き合い、
じゃあねと手を振るカップル。
こんなクソ寒いってのに
私以外はみんな暖かそうで
ずるいなあって。
重い体をあげて
冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
ぷしゅっ。
缶を開ける音は
いつ聞いてもいい音。
しゅわしゅわと炭酸の音が
口いっぱいに広がる。
やっぱぼっちはビールでしょ。
空気に乾杯して
私は幸せでいっぱいになる。
胃にビールが注がれて
満たされていく。
何もかも楽しく思えるくらい、
嫌なこと全部忘れてしまうくらい。
"Good Midnight!"
いつの間にか外も真っ暗。
酔いが覚めて
また苦しい独りになった。
遠い目で
外の暗い青色の空を眺める。
来年の今日こそは
幸せになれますようにと
祈りを捧げて。

12/24/2025, 3:33:40 PM

ねこ。
真っ黒で優雅なのに、
いつも甘えん坊な
野良猫。
私が窓を開けて換気をしていたら、
たまにふらっと現れて
私に挨拶するだけだったり、
窓のところで寝転んだりして、
帰っていく。
撫でたことがあるのは
ほんの数回だけ。
でも付かず離れずの関係は
人間関係等で疲れきっている
私にとっても、
ツンデレっぽいところがある
黒猫の君にとっても、
居心地のいい関係だと思う。
今日はクリスマスイブ。
明日はクリスマスだけど、
特にすることもなく
一人きりで過ごすんだろう。
そう思っていたら
君がひょこっと顔を出して、
家に入ってきた。
いつもクリスマスは一人だったから、
私は君が来てくれて
すごく嬉しかった。
いつもと変わらない顔で
私が温めて出したミルクを飲んでいる。
きっといつか
君は私を抱きしめてくれる。
"Good Midnight!"
それは遠い日のぬくもり。
でもどんなものよりも暖かい、
生き物のぬくもりだろう。

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