ハクメイ

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朝日が照らす公園内に、ジャージ姿の青年が居た。
銀髪の青年は、入念に準備体操を行なっている。
屈伸や軽いジャンプ、ふくらはぎを伸ばし、体を横に曲げようとしたその時

「お前はいつも、これをしているな」
と、女性か男性かわからない声が聞こえてきた。
「毎日の鍛錬は、欠かせないっすからね〜。
そういや、いつも指輪の中にいて、白黒(はっこく)は酔わないんすか?」

右手の中指に嵌められた、指輪に向かって話しかけた。
指輪には、少し大きな石があてがわれており、白と黒の濃淡がまるで煙のように動いている。

「酔わないよ。こんなんで酔ってたら、お前が私を振り回す時に、使い物にならないじゃないか」
「確かに、それもそっか」

青年は準備体操を終え、指輪に付いている石に、そっと触れた。
すると、指輪はたちまち姿を変え、青年の背丈と同じぐらいの槍に変貌した。
戦争で使われていそうな槍で、持ち手は指輪に付いていた石と同じく、白と黒の濃淡が蠢いている。

「ついでに聞いても良いか」
「なんすか」
「お前、いつも私を槍にしてるよな。槍がお気に入りなのか?」

青年は、あーと言って考えこみ、答えた。
「かっこいいから」

白黒の、聞かなきゃ良かったという顔が、簡単に思い浮かべられた。


お題『お気に入り』

2/17/2026, 1:20:40 PM