『今日にさよなら』
小春空。フン♪フン♪フン♪フ〜ン♪二連休の初日。
玄関ポーチを降りて一歩目、右足で猫のフンを踏んだ。
下ろして日が浅いハイテクスニーカーの凸凹な靴裏に滑りを感じるか感じないかギリギリのところ、
二歩目に出した左足でまたもや猫のフンを踏む。
朝明け、灰色とキジトラ模様の猫二匹が激しく縄張り争いしているところをアパートの窓から見ていた。最初は「ウーウー」鳴きあい、次に体を大きく見せようと斜に構え、終いには「シャー」とお互い飛びかかった二匹は一つの塊になり、鼠花火のように勢いよく回転しながら視界から消えていった。毎朝アパート前を散歩コースにしているオッサンの飼い犬がうるさく吠えている。「がんばれ、灰色の方」と冷めたように言いながら、二度寝のため部屋へ戻る。
それから、二時間後。
両足ともにフンを踏むという離れ技に、「ふぃわっ」とカン高い声を出しながら、思わず後方に仰け反りバランスを崩す。尻もちを突くや否や、地面に突いた右手で掴んでいるのは、犬のフン。
「んーー!?」こんどは感触がダイレクトだ。
「おわっ」と右側に急いで反転し左手を地面に打ちつけると、やはりそこには、犬のフンが、、、既に左手で押さえ込んでしまっている。「あのオッサン、また犬のクソを放置して行きやがったーー」
なんとか怒りを抑え込んだ途端、誰かに見られてはまずい、近くに人がいるかもしれないと、焦燥に駆られる。
平然とした雰囲気を最大限に演出しながら、今度はゆっくり左反転し片膝を立てた姿勢で座り、やれやれと空を仰いだ瞬間、額に鳥のフンが、ペチャッ。
青空に遠く遠く去っていく鳩をいつまでも見つめる。
今日、俺は額と四肢全てを動物のフンに汚された。
今日は、出かけるのは止めとこう。
2/18/2026, 12:50:45 PM