大狗 福徠

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贈り物の中身

乱雑に巻かれた正方形の箱を抱えたお前が窓から見える。
乱雑というよりはただただ下手くそなだけなんだろうな。
玄関の前でずっと何かを待ち構えている。
その何かが誰なんてすぐに分かる、今までもそうだったんだから。
最低限人前に出れる支度をして、玄関を開けてやる。
誕生日おめでとぉーーーっ!!!!!!!!!!
大きな声でお前が思い切り飛び込んでくる。
待たせてる間についた雪が冷たくって、
押しのけながら家の中に連れ込んだ。
いつだったか、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントは
一纏めで2つもらったことなんてないなんて言った俺に
そんなのもったんないよぅ、と叫んでから、
毎年お前はプレゼントをふたつもってくる。
決まって2つ、俺の欲しいものとお前が俺に渡したいやつ。
今年は何を渡しに来たんだよ、と聞いてみりゃあ
開けてからのお楽しみだよぅ、とヘラヘラ笑うばっかり。
ただ、今年はなんだか緊張も入り混じっているようだった。
いっつも好きなもん送りつけて、
色んな趣味を持たせてきやがったくせに
今年は何をモジモジしてやがると貰ったプレゼントを開ける。
あっ、ねぇちょっと待ってよぅ
なんて情けない声が聞こえてくるけど無視して開けた。
中にあったのは随分不格好なマフラーと手袋。
どっちも俺の好きな青で、拙い刺繍のワッペンとかが付いている。
寒そうにしてたからね、作ってみたんだけどね、
そんなになっちゃって。でもね、もらってほしくて。
へにゃへにゃの恥ずかしそうな笑顔としりすぼみな声で、
うつむきながらお前が言う。
可愛いやつめ、お前がくれたんなら俺はなんだって嬉しいよ
と突っついてやればよかったぁ、なんて
ようやくいつもの調子で笑った。
出掛けようぜ、これつけていきたい
なんて無茶を言えばお前はまたヘラヘラ笑って
この寒ぅ中に出ていくのぉ?
ともそもそ家から出る支度をする。
全くノリのいいやつだ。
その寒ぅ中でずっと待ってたろうとまた突っついてやれば
あははと笑って玄関に向かって歩いてく。
貰った宝物をつけて、まぁ適当に図書館かなんかにでも行こうかと
二人でヘラヘラ笑った。

12/2/2025, 10:28:49 AM