大狗 福徠

Open App
2/23/2026, 3:17:01 PM

Love you
愛って結構怖くないですか?
だって、例えば
夢追い人が愛する人にやめてって言われたら、
やめることを選んじゃうでしょ。
死にたい人が愛する人に生きてって言われたら、
生きようとしちゃうでしょ。
それってすごく怖くないですか?
自分の全てをかけて選んだ答えさえも捻じ曲げられちゃうんですよ。
愛のためだったら全て許されるみたいな風潮って、
恐ろしいと思いませんか?
愛しているならいたぶっていいんですか?
愛しているなら全てを奪っていいんですか?
愛しているなら生き返られたっていいんですか?
本当なら良くないことじゃないですか、それらって。
でも愛の名のもとに許されてしまう。
怖いですよ、それって。
加愛者は何も気にすることはないでしょうね。
だって愛してるという大義名分があるんだから。
でも被愛者はそうはいかないじゃないですか。
愛という最も簡易で悪辣な呪いのもとに縛り付けられるんです。
怖くはないですか。怖いでしょう、それって。
わかってるんです。わかってるんですよ。
愛は化け物なんです。
でも愛してしまった。
愛してしまったんです。
しまったんですよ。
あなたを、愛してしまった!!
だから、だから怖いって言ってください。
あなたにひどいことをしないように、傷つけないように。
私を怖いって言ってください。
お願いします、愛させないでください。
私に愛させないでください。
お願い、叫んで、暴れて、突き飛ばして二度と近寄らないで。
お願いです、お願いします。
笑わないで、優しい顔で私の手を取らないで。
受け入れないで、お願い。お願い。
あなたを傷つけてしまう。
いやだ、そんなのは嫌だ。嫌です。
突き放して、お願い離して。
あなたのことを変えさせないで、私に手を汚させないで、お願い。
ああ、あああ。
そんなに、そんなに私のことを愛さないで・・・

2/18/2026, 4:53:29 AM

お気に入り
本を読む。
なんとはなしに童話を選んだ。
もう覚えきった話を。
無我夢中に読み返して、もう忘れたものを読んだって
既視感に襲われるようになってしまった。
記憶災害とでも言えるだろう。
天井のスピーカーはなだらかな音楽を歌っている。
このまま眠れてしまいそうなほどに退屈だ。
そしてもう二度と起きることはないくらいに平坦だ。
本を読むことで知識の平原にぽつんと遭難する。
しかし同じ遭難者を見つけても助けを求めることはできない。
どうして本を読む場所では静かにしないといけないんだろう。
ここで喋るのはいけないことだと、言い出しっぺは誰なんだ。
生涯をかけても真に理解し得ないこの知の塊を、
喋らずしてどう深めようというのか。
ああ、手持ち無沙汰だ。
意味もなく己の手をこねくり回す。
依然としてスピーカーはなだらかな音楽を歌っている。
本を読む。
既視感を読む。
平坦の中で遭難する。
遭難して、逃げるためにまた遭難する。
スピーカーは歌う事を気に入ったようだった。
既視感はいつもどうりに俺に挨拶をする。
平原の中で、草を編む。
知を編む。
スピーカーは音の流れに身を任せ踊っている。
隣のソファに既視感がもすんと埋まりこむ。
編んだ草で日を避ける。
既視感は飽き飽きしている。
俺もだ、俺ももう飽きたよ。
しかし俺達の間に会話は起きない。
ここでは喋ってはいけないから。
スピーカーは疲れ果て、それでもなお舞っている。
昨日の草に今日の草を重ねる。

2/12/2026, 2:49:58 PM

伝えたい
やりたいことが脳裏に浮かんでは消えていく日々。
後ろ向きな承認欲求と前向きな呪いに板挟みの心。
青空を憎むほど染み付いた悩み。
道端の花を憂う程度の自尊心。
全部、全部、あなただけのもの。
汚くたって構わない。
物を拾うために屈むのは当たり前だ。
身の丈に合わなくたっていい。
いつかを願えるということだから。
だからあなたは健やかでいればいい。
時々迷ったり、躓いたり、知らない道を歩いたりして。
あなたが歩いた道が、全てあなたのためになるわけじゃないけど。
でも無意味無駄無価値になんてならないんだから。
鏡の向こうのあなた。
誰彼皆にそっぽを向かれた小さな私。
もう大丈夫だから、胸を張りなさい。
あなたのお陰で、私は素敵なものをたくさん得たよ。
もう大丈夫なのだから、泣くのはおやめなさい。
幼いあなたが蒔いた種は、今、立派に芽吹いているのだから。
誰もあなたを抱きしめないかわりに、私が陽だまりになろう。
幼い私よ、顔を上げるのよ。
雲が多くたって、あなたの好きな空はそこにあるんだからね。

2/9/2026, 10:51:00 AM

花束
ひしゃげた花束が道端に転がっている。
踏み潰されたそれをなんとはなしに拾い上げる。
黄色を中心に構成された花束だ。
贈られた人はきっと、黄色が好きか似合うかだったんだろう。
しかし拾い上げたとて、
その荒らされようをどうにもすることはできないのだ。
花屋でもなければ魔法使いでもない。
丹念に崩された花は花弁どころか茎の全域に至るまで平べったい。
それでも、一縷の望みをかけて踏まれない高台に花を担ぎ上げる。
担ぎ上げた所で、花にとっては関係ないだろう。
なぜなら、花々は茎を切られたその時点で死んでいるのだから。
殺されたその上で、自らの死体を弄ばれる。
この花束は、一体前世でどんな罪を犯したというのだろう。
子をなす中途で首を切られ、見世物扱い。
最終的にはゴミ扱いで踏み潰される。
なんて痛ましい。
その切られた首の塊に自我はないであろうことが、
唯一の救いだろうか。
黄色の花々は潰れながらも自己を失わずいる。
もしや、花は罪人の生まれ変わりなどではなかったのか。
これらは罪を犯したからではなく、
その高潔さゆえに花になったのか。
であれば尚更痛ましい。
斯様にも素晴らしい者共は、結局は搾取されるだけなのか。
いくら道を切り開こうが、言葉を与えようが、日差しとなろうが、
何も言われることなく踏み潰されて糧となるだけなのか。
この花は、なんなのだろう。
罪人か、善人か。
或いはその両方か。
頭を撫でたその優しい手で頬を打ち、
人を殺しに行ったその足で愛しい家族の元へ帰るのが人間である。
これは、あなたは善性であり悪性なのか。
高台へ掲げられたような花は応えることはない。
まさに、死人に口なしということか。

2/9/2026, 9:31:04 AM

スマイル

Next