『Love you__』テレビの中でブロンドの女性が恋人に愛を囁く。僕が生まれるよりもずっと前の古い映画。隣にはただ真っ直ぐ画面を見る君。なんだか少し気まずい。
「……この映画ちょっと退屈だね」
気まずさを誤魔化すために話しかけてみる。
「んー退屈ではないけど、また愛か。って」
「███って冷めてるとこあるよね」
「よく言われる」
なれた感じで微笑む君。
自分の事なのにまるで他人事のような。
「みんな愛 愛 愛 愛ってさ、押し付けられる側の気持ちは無視。そんなの愛とは言えないだろう?」
「……贅沢な悩みですね。まぁ言ってることは分かるけど。逆に███は何か愛してないの?」
うーん……と、わざとらしく顎に指を当てる。
それから僕を見て、
「ないね」
声は軽いが、目の奥が重い。
「教えてよ」
「え?」
「俺に愛を」
時々、こういう突拍子もないことを言う。
「それって僕が君を愛してることが前提にないとダメなんじゃない?」
「愛してないの?」
「……まぁ。好きだけど愛してるとは別かな」
「何か傷つくな」
一丁前に傷ついた顔をしている。
「███だって僕を愛してないのに、僕に愛してほしいのは傲慢だよ」
「たしかに」
可笑しそうに、目を細めて笑う。
気づけば映画はエンドロールが流れていた。
「あ、終わっちゃった。次はどれを観ようか。コメディ系にする?愛控えめに。……これちょっと愛っぽくない?」
「どうして?」
「君も悪いね」
2/23/2026, 3:23:25 PM