喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
「今、何か言おうとしなかった?」
「いや、なんでもないよ」
「うーん、そう? ならいいけど」
冬の夜道に、肩を並べて二人分の足音を響かせる。
吐き出す息が薄白く登っていく。
「そう言えばさ」
唐突に立ち止まった君が空を見上げる。
「今日は満月らしいよ」
釣られるように見上げれば頭上にはぼんやりと浮かぶ満月が僕たちのことを見下ろしていた。
「……綺麗だね」
「……うん。綺麗だ。とっても遠いな……手が届けばいいのに」
浮かぶ月に手を伸ばせば、真似るように手を伸ばす。
「ねぇ、お月見がてら寄り道してこっか」
「いいね」
「じゃあコンビニで何か買って行こ! 後についた方の奢りね! よーい、どん!」
君は駆け出していく。
これが僕たちなりの形なのかもしれない。
飲み込んだ言葉がじんわりと熱を持ち、溶けていった。
『Love you』
2/23/2026, 2:31:03 PM