近藤らく

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太陽のような



太陽のような星が宇宙にいくつもあるように、
地球のような星もきっとどこかにあるはずだ。

寛は慣れた手つきで、天体望遠鏡のファインダーに触れながら呟いた。

夜空には無数の星。
今夜は新月で、天体部の部室には私と寛の二人きり。

寛は私に目もくれず、夢中で星を追っている。
その瞳を、私はずっと昔から知っている。

私がかつていた星からは、
小さな青い地球が見えていた。

幼いころ、父にねだって買ってもらった望遠鏡を覗くのが、日課だった。
地球の望遠鏡など、私たちのものに比べれば玩具のようなものだ。

私の望遠鏡は、遠く離れた地球を歩く蟻の動きさえ映し出す。

暇さえあれば、地球を観察した。
大統領の食卓。
ベンガルトラの交尾。
居眠りするトラック運転手。
ツバメの渡り。

そしてある日、
こちらを見つめるひとりの少年を見つけた。

少年は翌日も、その翌日も、私たちの星を見上げていた。

私はいつしか、その少年に恋をしていた。

だから私は地球に来た。
寛に会うために。

寛は、私が地球外生命体であることを知らない。

寛が私の星を見つめたように、
いま私は、寛を見つめている。

私にとっての太陽。
寛という星を。

2/22/2026, 1:13:42 PM