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今日は土曜日…そして、バレンタインデー。
つまり―――

学校がない今日、好きな人にチョコを渡すには、“家に行く”か“呼び出す”しかないのである。勇気さえあれば渡せるのだ!
だけど、一つ問題があるとすれば…


「私、好きな人の家と連絡先知らない…」
詰みです。もー無理です。
渡す手段を考えずにチョコレートを作ってしまった…
愛しの涼先輩。確か北杉小学校出身だから、どの辺り、っていうのはわかるけど、正確な場所までは…
そうだ!
同級生で幼馴染の寛太。
こいつは確か、サッカー部だったはず。

私は電話をかけた。
「やっほー、元気してる?」
「え、してるけど…今部活だからあとでいい?」
むしろ、部活中だからこそ好都合だ。
「あのさ、あんたってサッカー部よね?
涼先輩にチョコ渡したいんだけど…」
「え?涼先輩?あの人今日休みだぞ」
「えっ…じゃあ連絡先知ってたり…」
「あの人スマホ持ってないけど」
…終わった
私の青春がーーーー
「何お前バレンタインチョコ用意してたの?
先輩にあげれないなら俺にくれよ笑なーんて…」
「そうね、もったいないしあげるわ
あんたのお母さんに渡しとくから家帰ったら貰っといてね」
「えっちょ」
ぴっ
はー…来年こそは、ちゃんと涼先輩に渡せるようにしとこう。チョコ作る練習もしとこうかな…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「えっちょっ」
好きな人に、冗談を言ったらチョコを貰えてしまった。
帰ったら好きな人のチョコが。そう考えたらその後の部活になんて全然集中できなかった。


「あんたー、香織ちゃんがあんたにチョコ持ってきたわよー」
お母さんにチョコを貰ったがーーーー

ハートのチョコには、でかでかと
『涼先輩LOVE♡』と書いてあった。

…好きな人の、他人への愛が詰まったチョコを食べた。
来年は、俺用にもらえたらいいなー…なんて。

2/15/2026, 4:04:40 AM