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池に張った氷に映っている………「映っている」ともいえないような、ぼんやりとした、色つきの影みたいな像を見つめる。


「……」


目をつぶる。
そしてもう一度開いたら、未だ眠り続けるアイツが、そこに映って、





などいない。

当たり前だ。
オレはオレでしかないし、鏡は目の前の実体と同じものしか映さない。
どんなに大事な人であっても、己にその姿を投影することはできない、そんなの分かってる。
それでも、ファンタジーみたいに、ここに別の誰かが映って、こちらに話しかけてきたりしないかなんてことを、ふと思ってしまった。


はあ、とその場に白い息を残す。
「…もう行かねーと」
氷鏡に映る自分に向かってそう独りごちて、立ち上がった。


【凍てつく鏡】
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氷面鏡(ひもかがみ)という言葉があるそうですね。

12/27/2025, 11:23:17 AM