東京に来て思ったのは、雪の日がにぎやかだ、ということだった。
西国で生まれ育った僕にとって、雪の日というのは何もかもが静止する日だ。東北の人には「こんなの降ったうちに入らない」と言われるだろう、うっすら積もったその雪だけで、まず交通機関が停止する。人々は家に籠り、朝はしゃいでいた子ども達の声もじきに消える。
そうなると、あとは雪がすべての音を吸い込んでしまう。
白さも、寒さも、ひとりお湯が沸くのを待っている時間も、ストーブも、僕も、みんな静けさの中にくるまれてしまう。それは孤独の匂いとよく似ていた。だから好きだった。
東京の雪は寒いだけだ。人も街も何かを振りきるように、耐えながら動き続ける。
僕もその欠片になる。うまく溶けられたらいい。
12/18/2025, 4:33:59 AM