『太陽のような』
机の上に、太陽のようなフルーツがあった。
てか、これ本当に太陽じゃね?
○○○
太陽。
それは普遍で不変の存在。
毎朝起きたら、当たり前に頭上に登っているものであり、東から西へ。夜に一度沈んでも、再び登ってくることを疑わない、変えのきかない偉大なる、地球に住む我々にとって大事な存在である。
しかし、つい三日ほど前からのことだ。
……太陽が、空に上がらなくなってしまった。
真っ暗の夜……というよりは、日食または月食のように、何かがぽっかり浮いたような、辺り自体は明るいけれど、空を見上げても眩しい存在は留守にしている……といった具合であった。
当日、一日目は大騒ぎした我々も、今日明日の生活そのものに異常が見当たらなかったため、特に今は何事もなく落ち着いている。
まあ、田舎の信心深い農家している婆ちゃんは、神様の祟りや、農産物への影響を心配していたけど。
そんな中、今日、仕事帰り、ベット横のチェストテーブルの上に、“ソレ”はあった。
眩しくて、近くにいるだけで温かい……たぶん触れたら火傷してしまうだろう。
こうごうと光り輝いているので、輪郭がはっきりとは見えないが、あの特徴的な形には見覚えがある。
……葡萄だ。たぶん、巨峰タイプ。
爺ちゃんが葡萄畑を所有しており、毎年食べに行くので見覚えがあった。
「どうしよう。これって市役所に通報したら、なんとかしてくれるのかな……」
いや、流石に市役所の人も困るか。
民家に入り込んだ野生動物の捕獲と同じには、太陽は扱えまい。
「しかし、困ったな……こんなに眩しいと眠れそうにない」
眠たくなってきた目をしょぼしょぼさせて、俺は居間からティッシュを一枚持って来た。
ついでに消化器(消防署に就職した従兄弟が何故かくれた)を一本持って、バケツに水も組んで近くに置いておく。
俺はそっと、太陽巨峰の上にティッシュを一本被せてみた。
太陽巨峰の熱で、溶け落ちたり燃えたりするかと思ったが、意外とそんなことは無かった。
良かった。火事にならずにすんで。
とりあえず、分厚い布を持ってきて、太陽巨峰の上に掛けた。
まだ少し明るいが、寝ようと思えば寝られる明るさだ。
僕はとりあえず、もう今日は寝ようと疲れた体をベットの中に入れて、枕に頭を乗せて眠ることにした。
○○○
翌朝、あれは夢だったかもしれない。
そう思い、机を見て分厚い布を退ける。
——太陽巨峰は、あった。
今日は休日だ。流石にどうにかしなければ、ならない。
思い悩む僕、しかし解決案は浮かんでこない。
……ココアでも飲んで一息つくか。
そのときだった。
玄関のチャイムが鳴り、扉を開けると美少女が居た。
思わず目を奪われる。
彼女は僕を真っ直ぐに見つめて、一言こう言った。
「太陽を取り戻すために協力してください」
「…………はい?」
これは太陽がフルーツになって、空から消えた世界で。
僕と美少女が太陽を取り戻すために頑張るお話。
……続かない!!
おわり!!
2/22/2026, 9:44:19 PM