倉本夏鬼

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『拝啓

             私へ
このお手紙があなたの元に
届いてるということは、
もう十年の月日が経ったんでしょう?
あー、いや。
やめだやめ。
こんな書き出し方は
まったくもってワシらしくもない。
いつも通りで行こうか。
気を取り直して。
まったく、自分のことだけど、
なんでこんなことを
思い立っちゃったんだか。
まぁ、思い立ったらすぐにやるのが
ワシらではあるけどさぁ。

そっちはまだ元気でやってるのかい?
ご飯も、ちゃんと三食とはいわなくても
食べてるの?
いや、食べてないな。
これは断言できる。
食ってか食べることに対する興味の薄さとか、
何年経っても変わらんでしょ?
そーゆーとこは。

友人たちとは?
変わらずオンラインで飲み会やってるの?
あいつらが楽しそうに過ごしてるなら
いいんだけどさ。
それでもちょっと心配じゃん。
なんて、面と向かっては言えないけど。




相変わらずヘタレなんでしょ。
妙なところはガッツある癖して、
大事なところじゃ奥手になって。
アンタには文句しかないよ。
文句しか出てこない。
それでも、ある程度には幸せなの?
どこで立ち止まってんの?
過去の自分に言われて悔しくないの?
さっさと自分の夢を現実にしなよ。
現実になってないなら生きたまま死んでろよ。
それだけだよ。
また、更に十年後のワシらに託すよ。
じゃーね、この世で一番大嫌いなヒト。
          最低で最愛たる私より』

2/15/2026, 2:15:34 PM