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光の回廊

暗闇の中

必死に前に進んで行く

何も見えない

先に進んで行くことが正解なのかさえ

わからない

自分だけがこの暗闇の中に閉じ込められて

光を求めて進んで行く


何も見えない不安は

自分の足音さえ不安を増加させていく


「手を伸ばして!」

そう必死に自分の手を掴もうとしてくれた仲間たち

もう駄目だ…

自分の諦めの先にあったもの

それはこの暗闇

何も見えないことがこんなにも不安なのか

何も音がしないことがこんなにも不気味で

前へ進むしかできない

止まってしまったら死が待っている

そんな気がして

死ぬことがこんなにも怖いなんて


ふと声が聞こえた

懐かしい声

声に向かって進んでいく

小さな光が見える

必死に前へ前へ進んでいく

小さな光は光の回廊だった

何も考えず前へ前へ進んでいく





「目を覚まして…」

何本もの管が繋がれている

真っ白い部屋

泣き腫らした君が驚いて何かを叫んでる

ここは…?

「もうどこにも行かないで」

縋るように君が言う

痛い位に温かい手が握りしめてくる

戻ってこれた

頬を温かいものが流れていく

そうか

いろんなことを諦めて屋上から飛び降りた

もう生きていく必要さえ感じなくて

冷たい雫が落ちてくる

まだ生きたい

強くそう思う

泣いてくれた君のために

12/23/2025, 3:57:25 AM