水瀬しろ

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23時42分。

溜まっていたレポート課題を終え、大きく伸びをした。ずっと同じ姿勢で作業していたせいか、背中のあたりがじんわりと疲れている。最近は中々やる気が出ず、提出日ギリギリになってしまいがちだ。そろそろ寝る時間だったが、明日は2限からということもあり、甘いミルクティーを入れて自分にご褒美をあげることにした。

スティックを開け、愛用のマグカップに粉を入れる。お湯を注ぐと、とぽ、とぽという音と一緒に、まろやかで甘い香りがふわっと広がった。スプーンでそっとかき混ぜる。まだ熱くて飲めそうにないので、飲めるくらいになるまでベランダに出て外を眺めることにした。

私はいつも、悩みがあったり気分転換したかったりするとき、自然とベランダに出てしまう。ふわふわの手袋をして、分厚い靴下にスリッパを履き、ブランケットを羽織った。窓を開けると、ひんやりした空気がふわっと肌に触れた。12月の夜の冷たさだ。

まだ熱いマグカップを両手で包む。風一つない静かな夜とミルクティーの優しい香りが私を包む。ほっとした気持ちと共に夜空を見上げてみた。今日は一日快晴だったこともあり、月は明るく、星もいつもよりはっきり見えた。マグカップの熱気と厚着のおかげか、この寒さもどこか心地よい。

冷めてきたミルクティーをひと口飲み、ふぅっと息を吐く。白い吐息はすぐに夜空へ紛れた。

私はこの時間が好きだ。ぼーっと外を眺めていると、自分の中に溜まっていたものがすぅっと出ていくような気がする。冬の夜は寒いけれど、私にとってこの時間は、大切なひとりのご褒美みたいなものだ。

気づけば、マグカップの湯気はもう消えていた。さすがに冬の外に長くいたせいか、体も少し冷えてきた。

そろそろ部屋に戻ろう。
今日も長い一日だった。
「お疲れ様、私。」そう小さくつぶやいて、静かに窓を閉めた。


「白い吐息」

12/8/2025, 1:32:14 AM