るに

Open App

君が見た夢はきっと
こんな夢だった。
不自然なほど真っ白でまっさらで
綺麗な教室、
座ってる人はみんな10代後半くらいで
座高も同じ。
じっと前だけを向いていて
喋り声なんか聞こえない。
でもその中で1人だけ
座高がちょっと低くて、
真紫の服を着ていて、
鼻歌を歌いながら
教室を見渡していた。
言わば、はみ出し者。
でも誰も咎めなかった。
いや、むしろ羨ましく思っていた。
好きな色の服を着たいし、
自由に話したい。
特に意味がなくても
目線を動かしたい。
ゲージから出たがる犬のように
みんなは自由を求めていた。
ある一人の子が
緑の服を取り出し着た。
また違う子も色の着いた服を、
そのまた違う子は後ろを向いてお喋りを、
教室内は一気に活気づいた。
突然ガラガラっと大きな音を立て
教室のドアが開いたかと思えば、
先生らしき人が入ってきて
はみ出し者のあの子を怒った。
みんなできてるのに、
どうしてあなたはできないの。
そんなんじゃ、社会でやっていけないわよ。
誰も助けようとはしなかった。
自分ははみ出し者じゃないって
言い聞かせていた。
日が変わると
はみ出し者のあの子は
座高がみんなと同じ高さになっていた。
椅子にクッションを敷いたのだ。
服もみんなと同じ真っ白に、
真っ直ぐ前を向いて
口を開くことは無かった。
みんなは次々と服を白に変えだし、
口を閉ざし、前を向いた。
誰かがはみ出していないと
誰もはみ出せなくて、
誰かが元に戻ると
誰もが元に戻る。
そんな、
ちょっと気分の悪い夢。
"Good Midnight!"
同調圧力というやつ。
周りがやってるから
じゃあ自分も…。
そんなつまらない圧力。

12/16/2025, 3:05:43 PM