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〈枯葉〉


普段なら、目にも留めない。
今まで何枚踏んだか、それすらも覚えていない。

とある、雨の日。
屋根の付いたベンチに掛ける。靴底からやけに水の跳ねた音がしたので、靴をこちらに向けると、葉が何枚か付いていた。
べったりと、踏まれて離れないであろう、枯葉。
少し、不快になった。
いつの間に、自分はこんなものを踏んだのか。あるいは今まで、何枚踏んできたのだろうか。ほんの小さな、浅薄さ。虫食いの跡に似て、心にも穴が空く。

そういえば、あの人とも、何日会えていないだろう。
歩くたび、靴底の形に歪められたのであろう、そのひしゃげた枯葉と見つめ合う。
あなたもわたしを、恨んでいるのかもしれない。

冬もそう遠くない、肌を包む空気の冷たさに、より色付いた孤独を突きつけられる。雨のとばりは、人と人との隔たりを、大きくさせる。
通りすがった誰かが、何の気なしに、枯葉を踏み付けていった。また、傷付く。跳ねる水の音すら、今は、遠くのだれかの叫びみたい。
気が付けば、無意識に葉を取ろうと、靴を地面に擦り付けていた。靴の底では、ちぎれた枯葉がわらっていた。

2/20/2026, 2:05:46 AM