すべてが雪に包まれて、そのままとけてしまったら、と思うことが度々あった
存在や人工物や発光体は意味を成さないで、“嘗てここに、あったのです”と遠い星の誰かが囁いて
そうでありたいと願った
僕のすべてを手放して、水泡に帰してくれるのならよかった
あの日の雪は紅かった
人が倒れていた
凍った地面に車が滑って歩行者が巻き込まれたようだ
雪はつめたい
わかっていながら指先を埋める
記録的大雪を融かす情熱は冷めること知らず
寝転ぶと空は白かった
目を閉じる
視界は紅い
やがて雪の静寂が訪れた
12/17/2025, 1:16:39 PM