凍える指先でタップする。
薄暗い風が吹く中、電話番号をもう一度確認して、
勢いよく受話器のマークを押した。
きっかり3コール後に通じた電話に、
「ちょっと!助けてください西園寺さん!今僕追われてるんです!」
と叫んでみた。するとあくびを噛み殺した西園寺さんに、
「知らん。今何時だと思ってる?夜中の1時だ。良い子は寝ている時間だよ。俺は寝る」
と、無情にも電話は切られてしまった。
ここで諦めてしまうと彼は本当に寝てしまうので、
諦めずに電話をかけるべきなのを僕は学習している。
またきっかり3コール後に、
「景子くん。今度は何に巻き込まれたんだ?君は女性なのだから気をつけるべきだと、俺は散々忠告しただろう。それを無視したのだから、全て君に非がある。俺は今回は手伝わないぞ。」
「そんな〜。絶対西園寺さんが関心ある案件ですよ今回は。とりあえず話を聞いてみません?」
「君はそう言って、俺を何度も危ない目に巻き込んだだろう。今度は、」
12/9/2025, 12:34:31 PM