かたいなか

Open App

日本の伝統菓子・おかきは、鏡餅を「『欠き』割って」作られたものだそうです。
と、いうネット情報は置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家は、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔一家の自宅にして、参拝者用の宿坊も兼ねていました。

何百年も前、その地に現れた花の怨霊を、
3本尻尾の金の雄狐と、2本尻尾の銀の雌狐の夫婦が、やっつけて鎮めて社を築いたのが由緒。
今も稲荷狐の家族は人の世に紛れ込んで、
あんなこと、こんなこと、コヤコヤこんこん、
見守っておったのでした。

さて。
狐家族の末っ子が、尻尾をぶんぶんビタンビタン、
宿坊利用者が持ってきてくれた手毬にジャンプしてかみついて、ケリケリ、遊んでおりますと、
当日予約で宿坊に来た2人の野郎が、予定時刻より1時間ほど遅れて、チェックインに来まして、
野郎の冷えきった様子を見た狐のおばあちゃんが、お母さん狐に言いました。

「風呂の準備をしておやり」
「グレード、どうなさいます?」
「ヒノキ風呂が良い。ふんだくっちまいな」
「はい。そのように」

タバコのオッサンと、コーヒーのおじちゃんだ。
子狐は耳も、鼻も良いので、すぐ分かりました。
玄関で温かいお茶を貰っておった野郎2人は、子狐のそこそこお気に入り。
イチバンのお気に入りは別にいますが、
それでも、子狐の遊びに付き合ってくれる、良い人間には違いありませんでした。

ちなみにその野郎2名よりお気に入りなのは
子狐に手毬を持ってきてくれたお嬢さん。
子狐同様、美味しいものが大好きなお嬢さんです。
「なんかね〜」
お嬢さんが子狐に、情報提供です。
「コンちゃんの言う『タバコのオッサン』が、コーヒーのおじちゃんに叱られたらしいよぉ」

なんで、叱られて体が冷えちゃったんだろう。
子狐はさっぱり分かりませんでしたが、
お嬢さんが言うにはなんでも、
タバコッサンがどこかのスキー場からスピード超過のボブスレーがどうので、ガードレールをガン。
射出されてったとか何とか、かんとか。

まぁ細かいことは気にしません。
それは、前回投稿分のおはなしです。
今回は今回のお題です。

「ほい!ちょっと早いが、鏡餅」
お嬢さんと一緒に宿坊に泊まっておった親友さんが、コンコン子狐とお嬢さんのために、
丸いおまんじゅうの生地にバニラアイスやチョコアイス、オレンジアイスなんかを包んで、
「凍てつく鏡」ならぬ、「凍てつく鏡餅」を、作って持ってきたのでした。

つまり雪見だ●ふ<です以下略。
2個重ねて上に小さなちいさな、ポンカンくらいの小ささのミカンをひとつ。
これで、「凍てつく鏡餅」です。

玄関ではまだまだ、タバコッサンとコーヒじちゃんが、何やら話し込んでいます。
「俺は悪いことはしていない」
とか、
「もう一度根性叩き直してもらいましょうか部長」
とか、ごにょごにょ、聞こえています。

細かいことは気にしません。
きっと今回のおはなしの裏側の、なにか別のおはなしなのです。 たぶん。

「つめたい!つめたい!おいしい!」
がぶっ!
コンコン子狐、さっそく凍てつく鏡餅に噛みついて、大福の生地とバニラアイスを楽しみます。
「ほら、こっちゃ来い。コタツに入れ」
お嬢さんの親友さんが、ちょいちょい。自前のコタツに子狐を招き入れます。

子狐もお嬢さんも親友さんも、野郎のことは気にせんで、スイート鏡餅をちゃむちゃむ、もぐもぐ。
お嬢さんが淹れた温かいお茶と一緒に、
温かい時間を過ごしましたとさ。

12/28/2025, 8:43:42 AM